鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「アシガール」2

あらすじ

また戦が始まる。なんとか参加したい唯は天野信茂に頼み込み、小荷駄隊に入れてもらうことになった。が、これは戦闘部隊ではなく荷物の運搬係。いざ戦が始まったら、ここにいては若君を守れないと現場に走っていくが、死人が大勢倒れているのを見て気絶してしまう。

気絶から覚めた時は戦は終わっていた。羽木軍の勝利。夜になり、皆が勝利の美酒に酔いしれる中、苛酷な戦の現実と己の力のなさを悟った唯は途方に暮れる。そんな時、地元の豪族・鐘ヶ江が今宵の忠清の夜伽の相手に娘・ふきを差し出すという噂を聞きつけ、ふきを眠らせて阻止し、代わりに女装してふくと名乗り、忠清の閨に忍び込む。が、夜伽の相手はできず、逃げ帰ってしまう。

改めて天野家で雇ってくれるよう頼みに行くと、千原家の足軽・悪丸と駆けくらべで勝てば雇うと言われる。見事勝利し、かくて天野家配下に。支度金で土産を買い、おふくろ様のところへ帰宅。悪丸もついてくる。

また戦となり、唯に招集がかかる。今度こそ若君のそばにいられてしあわせな唯だが、味方1000に対して敵が3000という絶望的な戦いであることを知り、ちょうど満月の夜であることに気付いた唯は、三千の高山軍ごとき、21世紀の科学力でなんとかします(弟が)……とつぶやいて現代へ戻る。

雑感

一巻より面白い。ドラマと同じでだんだん面白くなっていくようだ。

女の姿になって若君の閨にしのんでいくシーンが本巻のハイライトである。昨今の女子高生の性的体験の事情は知らないが、いくら好きな人が相手でもいきなり部屋へいっていたせと言われてもなかなかはいそうですかとはいかないであろう。それに、何しろ戦から戻って風呂に入っていない(当時の庶民がどのような形で身体を洗っていたのかは知らないが)のだから、躊躇するのは当然だろうなあ。

ドラマとの相違点

原作にかなり忠実に作ってある。今のところ、大きく飛ばしたエピソードもなく、オリジナルキャラもいない。恐らく単行本12巻までを全12話で放映するのだろう。分量的には適量で、その意味では大幅に改変する必要はないはずだ。

ただしいくつか気付いた点がある。

  • 唯が天野家の配下になる経緯については、ドラマでは悪丸に勝ってもすぐに採用されず、若干の変更がある。変更の理由は不明だが、そのため採用後にもらった支度金で吉乃への土産を買い、「これは戦支度をするためのお金です」と叱られるシーンが省かれた。
  • 唯が天野家で雇ってほしいと頼み込んでも天野信茂は最初は首を縦に振らず、真剣で斬りつけ、ビビった唯に対して「その腕では戦場に出た途端に死んでしまう。腕を磨いて出直せ」というシーンがドラマで省かれたのは残念だった。天野のじーさんは武士であってただのギャグ要因ではないのだ。
  • 猿楽一座の娘・あやめは、ドラマでは男だったが原作では女だった。そうでしょう、そうでしょう。これはドラマで違和感を持っていたのだ。なぜ男に変えたのかは謎。

配役

健太郎黒島結菜は別格として、おふくろさま(ともさかりえ)、天野小平太(金田哲)、天野信茂(イッセー尾形)、悪丸(MAX)などはピッタリだなあと思う。一方、唯の両親はあまり合っていないと思うが、もともと影の薄いキャラクターだからさほどこだわることもない。気になるのは弟(下田翔大)で、顔は似ているんだけど、雰囲気が違うんだなあ。



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(2020/6/17 記)