- 田村由美「ミステリと言う勿れ」4(フラワーコミックスアルファ)
遺産相続事件がようやく解決。かなり壮大な話だったが、肝は謎解きではない。この謎に気づいた人が4人いて、その人たちは、この悪い風習は自分たちが断ち切る、と悲壮な覚悟を固めていたこと(そのせいで殺されてしまうのだが)、自分たちの子どものことをよく見ており、その未来を思いやっていたこと。それがわかる仕掛けになっていたこと。そして、このエピソードに関しては主人公と言える汐路に対し、久能が、セメントにたくさん穴が開いている(心がたくさん傷つけられている)ことを指摘し、かつ、それは直せると言うところがいい。
ところで、2巻のラストで汐路が久能に、広島の人かと問う場面がある。広島に来てから特に迷うこともなく目的地に移動しているから。この時久能は、何度か来たことがあるから、と答えているが、本巻では知り合いらしき人に話しかけられ、人違いだと振り切っている。久能は広島出身なのか? なぜそれを隠すのか? 久能にもいろいろ謎があるようだ。
長い話のあとだからか、Episode 5、6、7はそれぞれ一話完結の短い話。ミステリーとしては完結しているが、話は続いている。Episode 5は爆弾魔の事件を未然に防ぐ話、ここでケガを疑われた久能が検査入院し、Episode 6は隣のベッドの人の話、Episode 7はその病院内の温室管理者の犯罪(?)を解決する話。そして、暗号で話す少女・ライカが登場……。
ガロくんは久能が入院したことをなぜ(しかもこんなに素早く)知り得たのだろうか。この謎は明かされる日が来るのか。