鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ミステリと言う勿れ」2

  • 田村由美「ミステリと言う勿れ」2(フラワーコミックスアルファ)

エピソード2(バスジャック事件)後編、エピソード3(謎の手紙)、エピソード4(遺産相続事件)第一話所収。連作「短編」なのに最初の話も最後の話も巻をまたいでいて、厭な感じである。しかし、エピソード2で美術展に行き損ねた整くんが、広島で開催される美術展に行こうとして車中で起きる事件がエピソード3で、エピソード3の事件を契機に巻き込まれる事件がエピソード4なので、順を入れ替えるというわけにもいかない。

エピソード1とそれ以降の話は、少し毛色が違う。エピソード1は完全な個室内で話が進む、安楽椅子(全然安楽じゃない、硬い椅子だが)探偵の極端なものだが、エピソード2以降は割と活動的である。エピソード2は前後編に分かれ、収録巻もまたがっている。また、整のことをうざいと言わない初めての人、が登場し、今後も絡むのかなと思ったら、エピソード3でもエピソード4でも再登場した(名前だけだが)。このように構成にも変化が見られる。

再確認すると、エピソード1はもともと読み切りとして書かれたもので、エピソード2はその一年後、連載の第一話として描かれたもののようだ。連載として続けていくために、一話完結ではなく、ひとつの話を何回かに分けたり、話につながりを持たせるために、準レギュラー的なキャラクターを登場させたり、といった工夫をしているということだろうか。

ミステリーはネタを考えるのが大変だと思うが、エピソード1に比べるとエピソード2は間延びした感は否めず、逆にエピソード3は話が少々浅い。そして、どちらも完全解決しない。後日、解決編が提示されるのか、もやもやを残したまま話が続いていくのか。

しかし、変わらないものもある。それは、語り続ける整の性格だ。こういう人が実際に周囲にいたら、さぞうざいだろうと思われるが、もちろん漫画作品だから面白く彼の持論を拝聴する。

さて、今夜の実写ドラマでは、犬堂愛珠役は誰がやるのだろうか。そこが気になる。

初出一覧

No. タイトル 掲載誌
Episode 2(後編) 犯人が多すぎる 月刊フラワーズ2018年3月号
Episode 3 つかの間のトレイン 月刊フラワーズ2018年4月号
Episode 4 思惑通りと予定外 月刊フラワーズ2018年5月号



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