- 小林薫「葬儀屋事件簿」2(青泉社LGAコミックス)
連作短編集で四話所収。電子版は2016年4月28日刊。紙版は2017年7月20日刊。電子版、紙版とも、1・2巻同時発売だったわけね。
本格ミステリーとして、ますます筆が載っている。
第一話は、焼かれたお骨を鑑定したら、他人のお骨が混じっていたことがわかった。そんなことがあり得るのか……
第二話は、ストレス発散のためにホストクラブへ通うようになった田中よし子が事件に巻き込まれ……
第三話は、妻の土葬を希望する夫。理由は、美しい妻を火で燃やすなんてできない、ということだが……
第四話は、死体を保管するために入った冷凍庫に、よし子が閉じ込められてしまい……
厳密には、一、二、三話はミステリーで四話はサスペンスということになろうが、そこはどうでもいい。一体どうなるのかとハラハラする点では同じだ。
1巻では、田中よし子が社長に心を惹かれかけている描写があったが、社長は関心なさそうだった。本巻では、よし子の命の危機に際し、「アルバイト」としか呼ばなかった社長が名前を呼んだり、人工呼吸のためとはいえ口づけをするシーンがあったりと、少し盛り上がりを見せる。
第四話では海外へ行くなど、話のスケールも上がっている。
犯人をつかまえるためによし子が死体に扮して棺桶に入る場面があるが、棺桶に入ったらずっと目をつぶり、動くことはできないので、犯人を見つけることは不可能ではあるまいか。棺桶の中は人形か何かにし、よし子は近くで普通に待機していた方がよかったと思う。まあ死体が急に起き上がったため、被疑者が腰を抜かし、逃げられなかったので、効果はあったか……?