鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「葬儀屋事件簿」3(新刊)

  • 小林薫「葬儀屋事件簿」3(青泉社LGAコミックス)

連作短編集で四話所収。紙版は2021年8月19日刊。電子版は2022年1月1日刊。前作から約5年をおいての続刊である。初出がわからず、事情は想像するしかないが、単行本2巻分でいったん終わった連載が、時を置いてまた再開されたということだろうか? その間に神宮寺副署長は署長に、アルバイトだった田中よし子は正社員になっていた。そして株式会社寿典礼の葬祭場・寿ホールが新装オープンした。都内にこれだけの建物を建てるのは、相当のお金がないとできない。スタッフが少な過ぎる気がするが、それなりに繁盛しているのだろう。

第一話は、事故が起きることを必死で願っていた妻の話。果たして事故が起きたが、それは本当に事故だったのか?

第二話は、妻と長男・次女を殺して自分も自殺した男の話。家族を巻き込んでの無理心中だが、なぜ長女は見逃したのか?

第三話は、全身をめった刺しされて殺された女性の話。なんでここまで刺されたのか?

第四話は、田中よし子がお見合いを。ホテルの庭で死体を発見してしまうが……。

田中よし子の上司は元刑事で、しかも経営者となった現在も相変わらず敏腕ぶりを発揮している。よし子は第一巻から数々の事件に巻き込まれ、それが解決されていく様子をずっと経験してきているにも関わらず、死体を発見しても通報せず、自分が容疑者扱いされているとわかるや部屋に引きこもってほとぼりが覚めるのを待つという、悪手を打つ。からくも寿誠志郎に助けられるが、これはお説教が必要だ。

このシリーズは佳作ばかりなので、ぜひ継続してほしい。ただし誠志郎とよし子の関係は、進むか破綻するか早い時期にはっきりさせてほしい。



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