鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「黒笑小説」

2005年4月30日刊。

東野圭吾は好きな作家で、一時期は著書を読み漁ったものだ。中でも「×笑小説」というタイトルの毒のあるユーモア短編集が大好きだったが、久々に読み返してみて、面白いことは面白いが、夢中になって我を忘れるというほどではないな、と思ってしまった。嗜好は変わるのだ。

「もうひとつの助走」と「選考会」という、文学賞の選考の裏側を描いたという点で共通する(しかし、オチが対照的な)ふたつの作品が巻頭と巻末でブックエンドになっている。選考される作家も共通する。

Web上のレビュー記事をいろいろ読んでいたら、この「助走」の意味がわからないという人が多く、「昭和は遠くなりにけり」と心の中で呟いた。これは筒井康隆の「おおいなる助走」のパロディになっているのだ。それを知らなくても面白いけど。

初出一覧

タイトル 掲載誌 日付
もうひとつの助走 小説すばる 1999年7月号
巨乳妄想症候群 小説すばる 2003年11月号
インポグラ 小説すばる 2004年1月号
みえすぎ 小説すばる 2000年3月号
モテモテ・スプレー 小説すばる 2004年8月号
線香花火 小説すばる 1999年9月号
過去の人 小説すばる 2005年4月号
シンデレラ白夜行 小説すばる 2004年4月号
ストーカー入門 小説すばる 1999年11月号
臨海家族 小説すばる 2000年1月号
笑わない男 小説すばる 2000年5月号
奇跡の一枚 小説すばる 2001年5月号
選考会 小説すばる 2004年12月号