鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「百科事典操縦法」

1973年12月3日刊。

50年前に書かれた情報整理学の書が令和の今でも役に立つ箇所があるのか、興味津々で再読。

驚いたのは、百科事典の将来として、センターに膨大な情報を集め、個人は端末からそこにアクセスする、というようなモデルを描いていたこと。イメージとしては「クライアント-サーバー」ではなく「ホスト-ターミナル」ではあろうが、偉い先生というのは50年前からわかるものなのかと。ただ、センターに設置される「百科事典」が人類の叡智を結集した、専門家による執筆ではなく、素人が書いた記事であること。

百科事典を作ることも利用することも、社会の知的レベルが相当に高くないとできない。この本が出版された当時は、百科事典の売れ行きは好調だが、それは利用するためではなく飾り物にするために売れていた側面がかなりあった。だから飾り物ではなく、利用しましょうよ、という思いがこもっている。

現代は事典そのものが軽視され(素人が作ったネット事典が膨大なアクセスを集めていて)、本物の百科事典は売れず、作る力もなくなってきているのではないか。平凡社の百科事典は2007年版が最後で、もう16年も改訂されていない。かつては8年ごとに改訂されていたのに!