鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「人生相談。」

2014年4月14日刊。「小説現代」2013年5月号~2014年1月号掲載、単行本化にあたり大幅に加筆修正。

九つの人生相談が掲示され、うち八つに回答が示されている。それを軸に展開される長編ミステリー。

当初は短編集なのかと思い、少しずつ時間のある時に読み進めようと思った。そのうちに、登場人物が相互に関連しているとわかり、連作短編なのだなと思った。が、一話で完結せず、不完全燃焼する話が続き、不審に感じていたら、これらは断片をひとつひとつ見せられているだけで、全体としてひとつの大きなストーリーが進んでいることにようやく気付いた。

後半は一気に読んだのだが、前半の登場人物や出来事をよく覚えていないこともあって、最終章で一気に謎が解けるはずが、不完全燃焼のままで終わってしまった。西野奈々子が誰なのかわからなかったら、そりゃ本作は面白くないわなぁ。記憶力もとみに衰えている昨今、ミステリーは時間をかけて読んではいけない。

第二章では、岡部康に振り回される部下の佐野山美穂が気の毒でたまらなかったが、後半、その佐野山はもっとひどいことを周囲にしていることがわかり、同情した自分が馬鹿らしくなった。第三章の意外なオチ、第四章の自爆した間抜けな社員。このあたりは短編として楽しめた。その裏で大きな話が進行している事には気づかないまま。

もう一度、最初から読み返すと、いろいろなことがわかりそうだ。



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