鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「徳川四百年の内緒話」

  • 徳川宗英「徳川四百年の内緒話」(文春文庫)

2004年8月3日刊。蔵書の再読。まあ、いかにも自分が買いそうな本ではある。

著者は田安徳川家の第十一代当主なのだろうである。宗英と書いて「むねふさ」と読む。

家康に始まる徳川将軍家のエピソードは、知っているものも知らないものもあるが、著者にしても歴代の将軍と会ったことがあるわけではなく、よくある雑学本と似たような体裁だ。が、慶喜以降の当主の話はさすがに臨場感があった。そもそもわれわれは、徳川家は15代慶喜で終わったと思っていて、徳川宗家も、御三家も御三卿も、ちゃんと当主が決まっていて脈々と系譜が続いていることを知らない。それは知っていても、当主がどういう人かなど、ほとんど全く知らない。だから、そこは面白かった。

こういう家の当主になってしまうと、法要ひとつとっても、ご先祖様のお歴々を供養しなければならない、時間もかかるし、お金もかかるだろう、でも年貢がもらえるわけではないから、普通に働いて、人並みの収入を得るしかない。著者はIHIに入社し、役員を務めたり、関連会社の社長を歴任したりしたほどの人なので、世間一般の人よりは高収入だったかも知れないが、お金も時間も、いくらあっても足りない生涯だったのではあるまいか。太平洋戦争がなければ、それないに広い土地を受け継いでいたから、家賃収入で左団扇だったかも知れないが……

今調べたら、徳川ネタでずいぶんたくさんの著書を発表しているようだから、それが御先祖様から受け継いだ「資産」ということになるのだろう。



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