単行本は2004年5月21日刊。文庫本は2007年5月15日刊。陣内、盲目の永瀬、永瀬の彼女の優子、陣内の友人の鴨井、陣内の後輩の武藤。共通するキャラクターが登場する連作短編集。ひとつの長編とも読める。ただし、各話ごとに語り部は変わる。ミステリーではないが、各編とも、ミステリー仕立てになっている。
蔵書の再読。なんとなく読んだことは思い出した。が、ストーリー展開はまるで覚えていない。だから、楽しく読めた。「レトリーバー」の最初の謎はすぐ解けた。今となっては定番ではないかと思うが、以前に読んだからなのかも。
陣内という男がやかましく、自分勝手で、そばにいたら辟易するタイプなのは明らかなのだが、彼の発言や行為によって、彼の周囲の事態が好転していくことが多いのも事実。上司の小山内が武藤に、彼は素晴らしいが決して真似をしてはいけない、と注意するのはよくわかる。
破天荒なキャラクターが織りなすヒューマンストーリー。