鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「おとなりボイスチャット」4(完)

kindle版は2019年6月28日刊。

本作は徳間書店の「リュウ」2014年9月号からの連載作品。紙の単行本はリュウコミックスとしてリリースされていたようだ。Amazonでは4巻のみ痕跡が見つかった。2017年2月15日刊。

4巻は浜渦恵の介入でいろいろ話が動き始める。美月は改めて田力に告白。振られるけど、はっきりしてサッパリ。アパートが区画整理で取り壊されることになり、出て行かなければいけなくなる。いろいろあるけれど、田力は自分の気持ちをはっきり陽奈子に向け、陽奈子は田力を(そして世間を)少しずつ受け入れる努力をする。最終的には田力と陽奈子は結ばれ、一緒に暮らすようになる。

結構いろいろな出来事が起きた気がするが、このタイミングで終わりとしたのはよい長さだ。終盤まで田力は(読者も)陽奈子の顔を知ることはない。それはまあ予想通りだが、顔の見えない陽奈子の存在がこれ以上長引いたら読み続けるのは辛くなると思う。

ただ、前巻でも書いたように、恵は陽奈子と直接会えるというのは納得がいかない。その上、美月の方が田力より先に陽奈子と会う。日奈子の誕生日は、恵と美月が陽奈子の部屋で、田力は自分の部屋でお祝いをするのは、いささか酷いと思った。美月は同性だから、敷居が低かったのかも知れないが、田力に対して不誠実ではと思うし、自分が美月なら、田力より先に自分が会うことはできないと断わるだろう。自分が田力なら、こんな風に自分だけ除け者にされたら気持ちが醒めるだろう……

しかし田力くんはそんなことでへそを曲げる人物ではなく、誠意をもって陽奈子に向き合い、ついに結ばれた。めでたい。

なお陽奈子の容姿は普通にかわいかったが、意外性はなかった。4巻まで待たされたのだから、何かサプライズがあってもよかったとは思う。



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