2023年7月19日刊。
前半は佐野率いる東実との試合。8巻の感想で
本作では、是非とも佐野に見せ場を作ってあげてほしいなあ。もう今からじゃ無理かなあ。
と書いたが、やはり無理だったようだ。佐野は中学二年生の時に全国優勝した青葉学院のエース。高校生になって伸び悩んだというわけではなく、ますます球威には磨きがかかっていたというのだから、本来墨谷ごときに打ち崩せる格の投手ではなかったはず。松川と投げ合って負ける、半田にまで軽々打たれるとあっては、いいところがない。残念だ。
次の準決勝の相手は、専修館に勝った城東。ちばあきおの描いた本編では、城東はさほどの強豪ではなかったが、谷口の中学同期の松下が鍛えて専修館を破るまでになった。
墨谷の先発は近藤。近藤も球威では墨谷随一、城東ごときに打ち返されるような投手ではないはずだが、初回、いきなり3点を取られる……
ハラハラさせる展開にしなければいけないストーリーの構成上、致し方ないことかも知れないが、打たれるはずのない人が「打たれてばっかり」というのも寂しいものがある。