鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「年下の男の子」

「月刊ジェイ・ノベル」2006年12月号~2007年12月号掲載。単行本は2008年5月16日刊。文庫本は2011年4月15日刊。ラブストーリー。

メーカー勤務課長補佐の川村晶子37歳は、出入りの業者の契約社員の児島くん23歳から告白される。14歳も年下では恋愛の対象にならないから、何かの冗談だとやり過ごそうとするが……

蔵書の再読。タイトルが印象的なので覚えてはいたが、細部と後半の展開は全く忘れていたため、楽しんで読めた。

晶子と児島が急接近するきっかけとなったトラブルだが、晶子は自分にも手落ちはあるというものの、話を読む限りでは基本的にはピーアール社のミスだ。晶子の言うことは、「避けようと思えば避けられた」というだけで、彼女の責任というわけではない。それなのに、リカバリーとしてフリーペーパーに徹夜でシールを貼るという作業を晶子と児島が二人でやるというのは信じられない。社員を動員して、なんなら臨時のアルバイトでも雇って、何人も寄越すべきだろう。たまたま朝までに終わったからよいが、終わらなかったらどうするつもりだ。眠くなれば作業更衣率は落ちるし、ミスもしやすくなる。逆に、大勢で分担すれば朝までかかることもなく、一人の負担は軽くなる。5~6人くらいで取り掛かれば終電までに終わったかも知れないのだ。

他はともかく、ここの部分だけはリアリティがない。

文中で年齢差についてくどくど繰り返されるのがちょっと鼻に付いたが、もとは雑誌連載だったと知ってわかった気がした。毎月の読者は、以前までの話を完璧に覚えているとは限らない。だから重要な設定は毎回繰り返すことになるのだろう。

作品全体としては、人間としての相性が何より大事で、年齢を気にしても仕方がない、というメッセージになっているのかも知れないが、7~8歳くらいならそうとも言えるかも知れないが、14歳差を気にする晶子の言い分がもっともに聞こえる。




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