鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

なにがこんなに迫ってくるのか「猫鳴り」

「九月が永遠に続けば」で衝撃のデビューを果たした沼田まほかるの第三作。

本作はミステリーでもサスペンスでもない。三篇から成る連作短編集で、主人公は猫。時間差をおいて猫の生涯を追いかける仕掛けになっている。

たんに猫のことを描いた、どうということのない話とも思うのだが、なにがこんなに迫ってくるのか。猫の周囲にいる人間は必ずしも猫好きばかりではなく、猫を捨てようとしたこともあるし、猫がソソをする場面なども書くなど、きれいな話ばかりではないあたりは、前作に共通する作者の特徴か。

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(2011/12/24)