正確には書名に「新装版」がつく。講談社文庫の歌野晶午作品は、ずいぶん前に順に絶版になり、「絶版かよ!」と思ったら、しばらく前から新装版が出始めた。新装版は嫌いなので、絶版になる前に揃えようと思ったのだが買い漏らしたのが本書。先月、新装版が出てしまったため購入。
著者初の短編集で、なにやら思い入れがあるらしい。それが前書きにある。いち読者としては、純粋に作品を楽しみたいので、こういう著者自身の解説も蛇足に感じられなくもない。
内容は、うまくまとめられないので断片的に書くと
- 歌野晶午の短編集は珍しい
- 他のどの作品ともあまり似ていない
- ひとつひとつの作品が、なかなか練り込まれており、よくできた短編集だと言ってよいのでは
- ミステリーではない
- 人間の嫌な側面を描き出すことを目的としているようであり、それはある程度成功しているようだ。後味が悪いと感じられる人もいるかも知れないが、最近は沼田まほかる、秋野照葉、新津きよみなど、後味の悪い作品を得意とする作家の作品を割りと立て続けに読んでいるため、この程度では全然後味は悪くならない
- ひとことで言えば面白かった
リンク
- 「正月十一日、鏡殺し」歌野晶午(なほまる日記(離れ)、2006/11/22)
- 「正月十一日、鏡殺し」歌野晶午(雨降りだからミステリでも読もう・・・、2011/02/18)