鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

一年後の約束の重さ

三つの短編からなる。当初は、同じようなテーマで中身の異なる短編集かと思ったが、三つ目の話で三つの話が溶け合う。これは連作短編、いや、三つの章に分かれた長編と考えるべきか。

三組の男女における一年後の約束の重みがそれぞれ描かれる。といっても、ほとんど男女の一方の側から描かれるのだが。それは、その人が今直面している人生、相手への思い、そのほか様々な要因によって異なる。三組の男女は、そもそも互いの距離も状況も異なるのだが、相手に対する気持ちは共通する部分もあり、全く異なる部分もあり。そうやって「年に一度」というものをあぶり出している。

どこか「唇のあとに続くすべてのこと」を彷彿させる。