鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「川底幻燈」3

  • 宵町めめ「川底幻燈」3 この夜が明けるまで

元の世界には帰らない、川底にずっといると言う遠藤正志は、記憶を売ったために存在が極めて薄くなってしまった。ほとり(スミダ)は慌ててそれをラムネの瓶に詰める。

正志の売った記憶はほとりの兄の小三郎が幻燈屋からくすねてきた。ほとり、小三郎の姉の宇里子は、ラムネの瓶の中の実体と記憶を合わせて、以前の正志に戻す。そして現世行きの列車に乗せ、川底での出来事はすべて忘れるように言う。

現世に戻った正志は、将来プロのカメラマンになる決意をし、再び学校に通い始める。ほとりのことも川底のことも思い出すことはない。

全41ページだが、表紙と扉で3ページ、前巻のあらすじで2ページ、目次に1ページ、あとがきで1ページ、解説に4ページ。つまり本編は30ページ。薄い本だ。

墨田川の家は三人兄弟だった。しっかり者の長女・宇里子は、ミニスカの似合う脚の長い美女。この三人は、一見仲良く振舞っているが、必ずしも一枚岩ではないようだ。両親の存在は不明。

暴走して実体がなくなりかけた正志を、墨田川兄弟の「力」で実体を取り戻し、元の世界へ帰るが、その時はほとりのことはすっかり忘れている。宿命とはいえつらい話だ。

同人誌だから読者・ファンに対していろいろ伝えたいことがあるのはわかるが、文字が多い。あらすじもあとがきも半分にしたら全体のクオリティはもっとよくなるのにと、そこだけ残念に思う。



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