鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ぼっちの僕に強制彼女がやってきた」1

  • 栗ののか「ぼっちの僕に強制彼女がやってきた」1(芳文社

2021年12月16日刊。

周平が帰宅すると泉亜沙乃が家にいた。母の職場の同僚で、周平と付き合いたいからと押しかけてきたらしい。きっかけは、数日前に亜沙乃が落とした鍵を周平が拾ってあげたこと。名札を見て名前を覚えたのだという。美人で胸が大きい。自分ごときにこんな美女が言い寄ってくるはずがない、他に目的があるのではないかと、周平は亜沙乃を疑うが……

コミュ障のぼっちが突然デカ胸美人に言い寄られる話はいろいろあるが、そのバリエーションのひとつ。周平が交際を断わると、亜沙乃は、フリだけでいい、三ヵ月だけでいいとしつこい。結局事情を聞いてみると、周平の母に頼まれ、断わると職場で気まずいから、ということらしい。周平にしても、彼女ができれば母が安心するならと、三ヵ月だけ付き合っているふりをすることに同意する。

男の子を持つ母親が、年ごろの女性に向かって、あなたみたいな人がうちの息子のお嫁さんだったらいいのに、とか、うちの子と付き合ってほしい、とか言うのは日常茶飯の出来事だろう。それを真に受けて、断わったら気まずいからと本当に周平に交際を申し込む亜沙乃はちょっと普通ではない。年ごろの男女が付き合うとなれば、単に一緒に過ごすだけではなく、手を握ったり、キスをしたりもするだろう。そういうことも受け入れるのか? だからこそ、舞台裏を明かして「フリ」に付き合わせることに合意させたのだろうけど。

ストーリー展開はちょっと強引だが、亜沙乃がとにかくかわいい。顔だけでなく、表情や仕草がとても魅力的だ。その魅力で一冊読んだようなもの。

ちなみに周平は、アルバイトとはいえちゃんとコンビニで働いている。ゲームが好きで友人が少ないといっても、引きこもりではない。そうそう周囲から心配されるような状況ではなく、本人もそう引け目を感じることはないのだが。

友人というほどに親しくはない立山およびその彼女と、ダブルデートでキャンプに行く羽目になった周平と亜沙乃。フリだとバレないように、熱愛ぶりを「演じる」ところで1巻終了。そもそもなんで行きたくもないキャンプに行くかねえ。「ちゃんと断われない」というのが周平なんだろう。



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