「透明なゆりかご」1巻の紹介記事で次のように書いた。
沖田×華の名前は、「本当にあった笑える話」を通読していた頃に「毎日やらかしてます。」という作品を読んでいたため名前は知っていた。発達障害を抱え、苦労しつつも周囲の理解や手助けに支えられて、細々と漫画家をやっているのだと思っていた。
その作品が本書である。自分に取ってはこれこそが沖田×華だと言える、なじみの深い作品である。以前探した時は見つからなかったから、最近電子化されたのかと思ったが、そうではないっぽい。
奥付を見ると2012年6月20日初版第1刷発行とある。これは電子版の元となった紙の書籍のことと思われる。電子化する際に奥付はスキャンせず、電子化した日だけ書いている本も多いが、それだと作品の履歴がわからなくなってしまうため、紙の初版を明記してあるのは評価できるが、電子版の発行日が書いていないのはマイナスである。
ところで、本書は発達障害の勉強のための本ではない。こういう人は決して珍しくはないので、理解が広まること自体がいいことなのだろうが、あくまで漫画であり、楽しく読めればそれでいいのだと思う。作者も、これは結構悲惨な出来事だったのでは? と思えるようなこともさらりとまとめ、ちゃんとエンタメに昇華している。
そこが大事だと思うのだが、編集者が、ちょっと格調高い本にしたいと頑張っちゃったのか(想像だけど)、ところどころに専門家が登場して「アスペルガーとは」などという解説を始めるのは余計だと思う。