鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「マンガで食えない人の壁」

  • トキワ荘プロジェクト編「マンガで食えない人の壁」

  • トキワ荘プロジェクト編「マンガで食えない人の壁-プロがプロたる所以編-」

トキワ荘という言葉に惹かれてまとめて二冊買ってしまったが、失敗だった

本ブログでは、基本的に自分が面白いと感じた本のみを紹介することにしている。批判的なことを書いても、それは総合的にはプラスである前提で、惜しいと思ったことを書いているつもり。が、この本はそうではない。

Amazonの紹介ではこのような本だということが全くわからなかったため、情報を出しておくことは必要だろうと思ったことと、もしかしたら、人によっては喉から手が出るほどほしい情報が載っているのかも知れないと思うから。

なによりもまず最初に、本書は漫画ではない。参考例として漫画のコマが載っているということもない。各章の扉にイラストがあるだけで、徹頭徹尾活字の本である。自分は作者の名前と内容からして漫画作品だと思い込んでいた。漫画家が、漫画家の卵に向かって、漫画の話をするのに、漫画では描かないというのは意表を突かれた。それが悪いとは言わないが、それとわかるようになっていないのは残念だ。

そもそも「トキワ荘プロジェクト」というのがよくわからない。当初は、トキワ荘関連の漫画家グループのことかと思ったのだが、どうもそうではなく、単なる支援団体ということらしい。「中の人」について何の情報もないのは、自分的にはキモチワルイ。実際にこの本の制作に関わった人がいるわけで、その人はちゃんと名前を出すべきだと思うのだが。

内容は、「マンガで食えない人の壁」はプロの漫画家や原作者に対するインタビュー形式で、登場するのは樹崎聖鍋島雅治田中圭一緒方てい、大崎充、おおひなたごう、江本晴、野間美由紀、深谷陽、川田潮、稀見理都、うめ/小沢高広、すがやみつるの13人。「プロがプロたる所以編」では対談形式で、堀江信彦×佐渡島庸平新條まゆ×樹崎聖、うめ×きづきあきら+サトウナンキ、甲斐谷忍×栗原正尚上條淳士×二ノ宮知子の12人(うめは二人とカウント)。このラインナップが本の紹介に記載されていないのは、どうにも納得のいかないところだ。事前にわかっていたら、自分は本書を選ばなかっただろうから。話を聞いてみたい人と、そうでない人が、誰でもいるだろうと思うのだ。

最後に、内容はもう少し整理して書くべきではなかったかと思う。プロの方々に取材の了解をもらって、長時間インタビューし、それを書き起こした。ここまではとてもよいが、それをそのまままとめて本にしたでは芸がない。好意的に解釈すれば、プロの壁を乗り越えるのに決まった公式や法則があるわけではなく、いろいろな人が語る中から、自分なりにつかんでいくしかない、ということなのだろうけど。キツイ言い方をすれば、話をしている人は、それぞれにプロかも知れないが、本を作った人はプロと呼べる人なの? と疑問を感じたというのが正直なところだ。



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