鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「空気が「読める」新入社員と無愛想な先輩」

  • 鳥原習「空気が「読める」新入社員と無愛想な先輩」1(一迅社

2020年11月25日刊。ゼロサムオンラインで連載中の作品。1巻とは書かれていないが、現在3巻まで発売されている。

恐らくたいていの人間は、顔はにこやかにしていても、心の中ではイライラしていたり、毒づいていたり、特に若い女性に対しては危ないことを考えていたりなど、どす黒いものを抱えているのではないかと思う。同時に、そういうものが表に出ないように振舞っているものだと思う。

空気が「読める」ということは、相手の考えていることが視覚的にわかるということ。こうしたことが「読めて」しまうと、人は精神を病むのではないか。七瀬がそうであったように。

しかし、慈(うつみ)先輩はそうしたことをチリほども考えていないようだ。こんなに純粋に可愛さと思いやりであふれている人は、世の中にそうはいないのではないか。それが実感出来たら、志野聡子ならずとも惚れるのは当然だ。

慈が志野の前に指導した新人の失敗は、本当は新人君に指導の意図や本人の問題点を伝えられるとよかったが、それができないのが慈の欠点ではあろう。ただ部署が変わった時に、申し送りはなかったのか。申し送りをしたにも関わらず、新しい部署の上司が慈の言うことを軽んじて、新人君に任せきりにしてしまったのであれば、そこの上司の責任だろう。新人君に罪を擦り付けるのはひどいなと思った。

志野はこの年齢になるまでずっと嫌な思いをしてきたと思うが(しかもそれを口に出せないのはつらかっただろうが)、慈先輩のもとでぜひ頑張ってもらいたい。



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