鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「マッチ売りの少女/赤い鳥の居る風景」

  • 別役実「マッチ売りの少女/赤い鳥の居る風景」

別役実kindle本は三冊しかなく、戯曲はこの一冊だけ(童話一冊、エッセイ一冊、そのほか共著で能のリライト一冊)。恐ろしい話だと思う。一番読みたかった「マッチ売りの少女」が読めてよかったが。

高校時代に何度も読み返して、主なセリフは記憶にあったが、ストーリーが理解できない。当時、女は男の娘で、弟は女の子ども、父親は男だ(つまり男は自分の娘と関係を持ち子供を産ませた)と理解したはずだが、男はなぜ女を自分の娘だと認めたのか? 妻はそれをどう思ったのか? 女に売春を薦めたのは男だったのか?(男の家を出てからあとの話だから、男とは別の、女を庇護した人物だと考えるべきでは?)弟が男の子だとどこで判断したのか? いろいろと難しい。


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(2020/3/30 記)

「ピストン堀口物語」1~3

ピストン堀口物語 1

ピストン堀口物語 1

ピストン堀口物語 2

ピストン堀口物語 2

ピストン堀口物語 3

ピストン堀口物語 3

梶原一騎、最初で最後の作品」と銘打たれている。

梶原一騎は(自伝的作品である「男の星座」を信用すれば)格闘技ものの雑文屋から始まった文筆業は少しずつ認められて「鉄腕リキヤ」や「スポーツマン一刀斎」の絵物語の原作を手掛けるなどに到ったが、その後低迷し、バーの経営等をしたもののうまくいかず、自分には文筆しかないと改めて決意、再起第一作が東京中日に連載された「ピストン堀口血戦譜」(1959年)であった。その後引き続き東京中日に連載された「力道山物語」が講談社少年マガジン編集部から注目され……というわけで、「最初」の意味はこういうこと。

またこの作品は梶原一騎の最晩年の1986年に影丸譲也よって劇画家され、中日スポーツに連載された。だから「最後」。一般に最後の作品は「男の星座」だと言われるが、本作も同時期に連載が始まっており、最晩年の作品であることは間違いない。

ピストン堀口にはあまり興味はないが、そんなわけで一度は読んでみたいと前々から思っており、全三巻と比較的短いこともあって、一気買いをしてみた。

本作は、梶原一騎がどの程度関わったのか謎である。というのは、作品を見る限り、彼自身が過去の文章作品をもとに漫画原作としてリライトし、毎回漫画家に原稿を渡していたとはとても思えないからだ。漫画家が文章作品を元に自分で漫画化したか、編集者あたりが一枚噛んでいるのかはわからないが、梶原一騎は関わっていないのではないか。

連載が始まった時は、梶原は健康を取り戻し仕事を再開していたので、関わっていないのも変ではあるが、何しろストーリーをただ絵で追っているだけで、細かい描写もないし、盛り上がりもない。これでは感動しようがない。もし梶原が関わっていたとしたら、彼の才能はもはや枯渇したと判断せざるを得ないが、同時期の「男の星座」の充実ぶりを考えるとそれも不自然である。

真相は謎だが、事実はひとつ、この作品は面白くない!


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(2020/3/30 記)

「闘魂プロダクション マンガの描き方」

「What's Michael?」を読んだら急に読みたくなった。

「What's Michael?」は本作の続編であり、本作に登場する漫画家Kと編集者が、そのまま「What's Michael?」の第一話に登場する。確か小林まことは「前作が続いていると思っていて、猫が主人公の新しい漫画(What's Michael?)になっていたとは知らなかった」と述べていたような気がする。だから第一話で(主人公であるはずの)マイケルがいきなり死んでしまうのである。

本作でもマイケルそっくりの猫が登場する。もっともその猫も死んでしまう(漫画家Kに殺される)のだが……。漫画家Kのバカでドジな性格を強調するためだとしても、よくよく猫にとっては悲劇である。

ちょっと力を抜いたショートコミックである。まだ「1・2の三四郎」の連載が続いていたためか、かなり手を抜いたと思われる箇所も散見するが、ギャグ漫画家としての小林まことの片鱗は感じられる。

本当は本作の前に「闘魂プロダクション」というオールカラーのショートコミックがあった(本作のタイトルはそれを受け継いでいる)。雑誌の「モーニング」創刊号からの連載で、それなりに力が入っており、たいへん面白かった。残念ながらいまだkindleでは出ていない。本作もマイケルもとっくに電子化されているのだから、早く他の作品も電子化されてほしい。


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(2020/3/29 記)

「新装版 What's Michael?」1

新装版となっているが、文庫化されたものだと思う。紙の本だと文庫本は小さくて読みにくいが、電子本では単行本と同じ。こういう点は(こういう点でも、と言った方がよいか?)電子本はメリットがある。

今さら解説不要の名作。マイケルをはじめ、動物が大胆にキャラ化されてはいるが、作者は猫の生態や性格を実によく観察していると感心してしまうくらいよく特徴をとらえている。猫が好きな人なら読んで後悔することはないだろう。

買い直して、久しぶりに読んだが、相変わらず面白い。


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(2020/3/29 記)

「モトヨメ 女流華道家編」

モトヨメシリーズ最終巻。

シリーズ四人の主人公の中で、本作の主人公である彩が個人的には一番可愛いと思う。オフの時の茶目っ気たっぷりの顔は好きだ。

また、胸が大き過ぎもせず、痩せ過ぎでもなく、身体も一番まともだ。

別れたあとも、彩の目的は「子作り」なので、元夫の一馬と「交流」を持っても避妊しないのはわかる。

邪魔者の蓮美がいなくなって二人がよりを戻すというのも納得の行く話で、四作の中で本作が最も欠点の少ない作品になっている。

ただし、一馬の男性器は大き過ぎである。男性視点のエロ漫画だと男性器は大きければ大きいほどいいことになっているが、そんなわけはないことは、女性である作者にはよくわかっているはず。そのあたりはどう折り合いをつけていたのか。

それにしても蓮美には腹が立つ。夫婦の閨をわざわざ覗いて、はしたない声を出すなとか種馬かとか、彩も一馬も侮蔑しておいて、二人がどちらも文句を言わないのは信じられない。こういう女には天罰が下ってほしかったが、そうはならなかった。

マジに分析すると、蓮美は嘉納流を継ぐ才能が自分にはないことに対する絶望や、そのために幼い彩にすべてを託さざるを得ないことへの罪悪感があり、一方彩も、やはり自分にそこまでの才能があるのかという不安、経験の浅い若い自分が嘉納流を背負っていかなければならないプレッシャーなどがあり、互いに共依存のような関係にあった……ように思える。蓮美の彩への過度な干渉もそうだが、蓮美に対して一切逆らわない、逆らえない彩も、心に病を抱えていたと考えるべきだろう。

だから最後、蓮美が家を出て、彩と別々の道を進むのは、二人にとっていい結果を生むだろうと思うのだ。そう考えると、シリーズ最大のハッピーエンドである。


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(2020/3/28 記)

「モトヨメ エリート女医編」

モトヨメシリーズ第三弾。

表紙を見ると、顔が可愛らしくなり、絵の上達の跡が感じられる。

胸の大きさも普通になって、ようやくわかってきたのかと思ったら、今度の主人公は病的にやせている。いや病的は言い過ぎかも知れないが、あばらが浮き出ているし、足も細い。なんの心境の変化かと驚くが、看護婦は相変わらず胸が大きいので、今回の主人公をこれまでと変えてみたということか。

病院における「実験」の様子などはあまりにも非現実的だけど、そこはまあ、突っ込むところではなく。別れた二人が最終章でよりを戻すのだが、その時の「やり直すことはできないかもしれない、だったら新たに一から始めましょう」というセリフはなかなか心に残る。

しかし医師(勤務医)というのは他の業界の人には想像を絶するほど忙しいらしく、だから離婚率はかなり高いと「研修医ななこ」にも出てきた。つるかめつるかめ。


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(2020/3/27 記)

「モトヨメ 女社長編」

モトヨメシリーズ第二弾。

女性の胸が畸形のように大きいことと避妊をしないことは前作と同じ。

新入社員が気に入らない明確な理由があるなら、そうはっきりいって(もちろん、いくらかの補償もして)辞めてもらえばいい。セクハラをして辞めさせる、というのは第一に卑劣だし、第二にリスキー(被害者に訴えられて、社長が率先してやっていたということになったら会社の存続が危うい)だ。ただし、主人公が元旦の支配から抜け出し、好きな人に好きだというところは、なかなか後味の良い終わり方だ。

女性社員ばかりの会社にたった一人男性が新入社員として入って来る、というシチュエーションを、何か美味しい話のように描かれている(実際、美味しい思いも何度かする)のは完全に男性視点。原作に忠実ということかも知れないが、女性作家としてそこは疑問に感じなかったのか。それともマーケティング的な視点でよしとしたか。


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(2020/3/27 記)