相変わらずヒリヒリしない。染井吉乃は高校生にしては腹が座ってはいるのだろうが、見せ場がない。深山霧島はやたらに過激だが、ただそれだけ。状況説明の時にやたらに長ゼリフになるのも興醒めだし。
しかし、過去にこの作品をヒリヒリしながら読んだ記憶があるんだよなー。3巻まで買ってみるか……?
Web広告を見て気になったので一巻を買ってみた。
ふとしたきっかけで不登校になった中学生の男の子が主人公・コウ。夜眠れず、家を出て夜の街を散歩していたら、吸血鬼の女の子・ナズナが寄ってきて……
もっと別の話を想像していたのだが、設定こそファンタジーだけど、ボーイ・ミーツ・ガールの物語。ナズナの年齢は不詳だが、下ネタは平気なくせに食事の話は異様に恥じらう(人間と逆)様子から、実年齢はともかく精神年齢はコウといい勝負。要は中学生の恋バナだ。自分としては「からかい上手の高木さん」や「佐伯さんは眠ってる」と同系列の作品と感じている。
オトナの恋もいいけれど、この年代の恋もなかなかかわいらしくて惹かれる。
現在7巻まで出ていて、継続中……。あまり長く続くようだと厭だけど、次も読んでみようかと今のところは思っている。前作「だがしかし」の評判がよいようなので読んでみたいが、全11巻と知って躊躇している。
1998年より「週刊漫画アクション」にて連載された作品。「江口寿史の爆発ディナーショー」(1988)や「エイジ2」(1991)よりさらにずっとあとの作品で、絵柄がまた変化している。
例によって十数回か二十数回続いたところで尻切れトンボで終わり、他の短編をかきあつめて一冊の本にしたのかと思いつつ読んだのだが、いつまで経っても終わらない。最後まで「キャラ者」だけの本だった。驚いた。いや、「すすめ!!パイレーツ」や「ひばりくん」の頃だったら驚きゃせんが、今の先ちゃんにそれができるとは。で、本書は一巻であり、なんと単行本は三巻まで出ているという。もっとも、作品自体は毎回1ページなのに表紙にも1ページ割いていて、ちょっと(いや、かなり)水増ししている感がなくもない。とはいえ、本書には96回分が収められている。これはすごいことである。
主人公は「キャラ者」ということになるのだろうが、それを養っている野崎多美という女子大生が一番出演時間が長い。が、この少女、とにかく顔が可愛くない。江口寿史の漫画で主人公格の女性キャラが可愛くないとは、別の意味で驚きである。まさかこの時代の江口寿史は、こういう顔を可愛いと思っていたのだろうか? しかし通りすがりの看護婦さんなどに美人はいるから、嗜好が変わったというわけでもなさそうだ。森下裕美みたいに、可愛い子を描くよりわざと可愛くない顔を描くことに意義を見出すようになったのか?
いろいろと内輪ネタも多いが、掲載誌であるアクションの編集長に、登場人物の口を借りてこんなことを言わせている回がある。「つぶれそうになると『花の応援団』が、落ち目になると『クレヨンしんちゃん』が(中略)なぜ双葉社には要所要所で神風が吹いてもち直すんですか!?」
僕は若い頃から、この逆を疑問に思っていた。ここで名前が出てきた「嗚呼!!花の応援団」や「クレヨンしんちゃん」だけでなく、昔から「子連れ狼」「同棲時代」「博多っ子純情」「じゃりン子チエ」「がんばれ!!タブチくん!!」、さらに国友やすゆきの「幸せの時間」とか相原コージの「かってにシロクマ」とか……、世間を席巻した話題作、人気作が次々と、本当に次々と出ているのである。それなのに、掲載誌である「週刊漫画アクション」はなぜにメジャーではないのか? と……。
さかんにWebで宣伝している作品。興味がわいたので、その時は分冊版しかなかったが、一冊が安いため気軽に購入。続きが気になり5巻まで一気に揃える。6巻が出たので買う。ここで、普通の単行本が出る。
普通の単行本が出るためには、相応の時間がかかるが、それまで待てない。出来た分から読みたい、というニーズもあるだろうし、どんな作品か知りたいと思う人にとって、面白いかどうかわからない作品にいきなり800円は払えないが、一話150円なら気軽に買えるということもあるだろう。だから分冊版があるのはいい。そういう形でも出版できるのが電子書籍のよいところでもあるのだ(紙の書籍なら一話ごとにバラ売りすることはできまい)。
そして、今回の通常の単行本は737円で1~6話までが収録されているという。分冊版6冊の価格は888円だから、まとめて買った方が安いが、これも致し方ないだろう。ここまではいい。
問題は、通常の単行本に「描きおろし」がついているということだ。これはちょっとひどいのではないか。分冊版を買い揃えてきた人に再度買わせる戦略だとしたら信義を欠く行為だ。既に888円も投資している上に、何ページあるかわからない描きおろしのためにさらに737円を差し出せというのはフェアではない。それなら描きおろしもそれだけ単独で買えるようにすべきだ。
目先の売り上げに目がくらんでも、こうした不正直、不誠実なやり方は、長い目で見れば自分の首を絞めると思う。出版社や作者は、よく考えてほしい。
作品は、ある日目が覚めたら女になってしまった小林くんが、どうせなら女でいる間に女の身体でセックスしたいと考え、職場の後輩の高津に頼みに行く。が、高津は実はゲイで、女の小林には興味がないが、実は男の小林のことは以前から好きだった、男に戻ったら付き合ってくださいと言われてしまう……
作者はどうもBLが専門らしく、Amazonのレビュー欄には「男×女の行為も描かれていますからご注意を!」などと書いてあって笑える。自分は男×男は苦手で、できれば目にしたくないが、この作者の描く女性がとても可愛いため、そこが魅力だったのだ。いろいろな見方があるものだ。
2巻の「檻の中の眠り」で「僕が読んだ限りのゴルゴ13のエピソードの中で一、二を争う傑作である」と書いたが、一、二を争っている相手が本作である。
普通に考えたら、できるはずのない、当たるはずのない困難な狙撃を成功させて「すげえー!!」と読者が痺れる、というのは「ゴルゴ13」という作品の大きな魅力のひとつで、そこに焦点を当てた作品がいくつもあるが、その中でも最高のものではないかと思う。
1km先のフットボールを射抜く狙撃である。FBIが依頼した時、「狙撃はともかく、時間がなさすぎる」といっていったんは断わる。依頼した方も準備に時間がかかることは理解していたようで、「できるだけ引き延ばす」ことを約束する。この超長距離狙撃を成功させるには、相応の道具(銃と弾丸)が必要なのだ。
ゴルゴはデイブ・マッカートニーに会い、3時間でオーダーメイドの銃を作るよう依頼。デイブはそれに答えて最高の一品を用意する。この「いい仕事をするためには道具が大事」「準備に時間をかける」あたりがゾクゾクくるところ。
対比として、ゴルゴの代わりに狙撃をするよう指名されたFBIの人間は、オリンピックの射撃で金メダルに輝いた豪の者らしいが、いつも使っている銃を構え、そして「無理です」と答えている。彼には目的に合わせて銃を変えるという発想はなかったようだ。
準備をしている間、ゴルゴが「急いでいる」と言ってもその緊急度を理解していない周囲がのんびりしている様子と「俺は急いでいるんだ」というゴルゴとの時間感覚の違いも興味深いところ。もっとも、ワカッテナイ支配人はともかく、FBIのリーガン部長がマイケル・ハワードにゴルゴ13を直ちに釈放してCIAに引き渡せ、と命じるとことはもう少しスピーディーでもよかった。一刻を争うのにちょいとおしゃべりが過ぎる。
撃ち終わったあと、くどくどした説明がなくさっと姿を消すラストシーンも素晴らしい。
依頼料は10万ドル。難易度を考えるとちょっと安い気がしなくもないが、FBIが一回の狙撃に用意できる金額はそのあたりが上限なのだろう。
ゴルゴは今回のデイブの仕事がよほど気に入ったらしく、その後、何度も彼に依頼することになる。*1
CIAフラガナン「きみのプロとしての実力を見込まれたという、そのことのために……ひきうけてくれ!」
「わざわざここまで来て、この辺のものを一丁いただきます……と買っていく客もあるのか?」
「デイブ!」
「え!?」
「ありがとう……」
狙撃自体はそれほど難しいものではなかったが、依頼者が裏切って始末しようとしたのを返り討ちにするパターン。
かつてゴルゴに狙われた肉親が復讐するパターン。ゴルゴをとある大人物と思わせて著名な殺し屋に仕事を依頼するが返り討ちにあう。ゴルゴの解説によると「そうなると、相手が素人だと思ってしまうということだ……奴らが車の前に飛び出してきた時、その襲い方でおれをプロとして襲ってきたのじゃあないとわかった……」
依頼料は5万ドルを前金と言っていたから全部で10万ドルか?
大金持ちが、生まれ変わって新しい人生を生きるために、ゴルゴに自分を狙わせて替え玉を撃たせ、別人になることを計画。もちろんゴルゴに見抜かれて最後は本当に殺されるのだが、そこに到るまでには、金持ちの苦悩(周囲の人間が皆自分にお世辞を言ってきて誰も信用できない、とか、何をしていいかわからない、とか)、自分を裏切った者への復讐、ゴルゴ13を騙す手口など、いろいろ複雑でちょっと面白い。佳作。
*1:「アニオタWiki」には、デイブ・マッカートニーについて「ゴルゴからの無茶振りに驚くが、彼もまた一流のプロであり、自らの誇りをもってゴルゴの期待に応えた。その結果、事あるごとにゴルゴの無茶振りに振り回されることになってしまうのを彼はまだ知らない」と書かれている。
ゴルゴ13が手のしびれに襲われる。これが最初の発病。このため当初は、人を一人殺すのに一週間もこの地にとどまってはいられない、と言っていたが、結局一週間かかってしまった。
並行して、恨みを持つ者からの襲撃を返り討ちにする話。ターゲットを狙撃せず、レストランで食事をしているところを毒ガスを投げ込んで、ターゲットは始末したが近くにいた人をおおぜい巻き込んでしまったとか。一緒に食事をしていた相手が生死の境をさまよった挙句失明してしまい、ゴルゴに恨みを持つに至ったというのだが、ゴルゴがそんな雑な仕事の仕方をしたことがあったのかと驚く。それとも、この男は「巻き込まれただけ」と思っているが、実はターゲットに含まれていたとか?
依頼料は5万ドル。
ゴルゴを騙って高額の「仕事」を請け負っていた殺し屋が、ゴルゴを倒して自分がゴルゴに取って代わろうとする話。ゴルゴの周囲にいる同業者は、魅入られたようにゴルゴに対決を挑む(そして例外なく負ける)が、なぜだろう。共存というか、同業者へのリスペクトみたいなものはないのだろうか。
それにしても、単独行動をむねとするはずのゴルゴに助手がいる……ということより、ロング・キルを本分とするはずのゴルゴがナイフで始末するという時点で相当に違う。ゴルゴに依頼する人はゴルゴに対しても相応の事前調査をするはずだが、なぜ嘘が通用したのだろうか? 本来ならゴルゴに仕事の依頼などできるはずもない、単に噂でゴルゴの名前を知っている程度の層に働きかけたからか。だとしたら客層が異なるので、「棲み分け」はできたはずだが……
偽物は、以前は一回500ドル、ゴルゴを騙るようになってからは一回10万ドルで5回仕事を受けた。
二重スパイは誰か、というミステリー。ゴルゴは最後に登場するのみ。面白くなくはないが、正体はあまり意外ではなかった。
ある男を始末するため、CIAやKGB5人もの専門家が送り込まれたが、いずれも返り討ちにされ、ゴルゴに仕事が依頼された。相手方の腕っこきの用心棒は誰だ? という話。これまでゴルゴは「同業者は目でわかる」と言い、初見で正体を見破っていたのに、今回はずっと一緒にいて相手の正体に気づかなかったのは、ご都合主義ではないか。ということでちょっと興醒め。
ゴルゴが仕事の説明を受けている時、そっと場所を移動したことを依頼者に驚かれ、「へやが暗くなって同じところにじっと立っているほどおれは自信家じゃない……」と答えるシーンがある。プロというのはそこまですごいのかと相手が驚くが、その間中ゴルゴは葉巻をふかしているわけで、いくら足音を立てずに移動したところで、煙の出どころが変われば素人だって気づく。こういうところは設定の穴だなあと思う。