鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ムカつく部長が実は神上司でした」全3巻

1巻は2022年2月13日刊、2巻は2022年5月13日刊、3巻は2022年9月1日刊。

世界は宇宙人から侵略され、多くの地球人が死んだ。しかし山田と部長の二人は、息の合った攻撃で宇宙人を返り討ちにし、血路を開いている……。この二人、元はブラック企業の上司と部下。パワハラばかりする嫌な上司だと思っていたが、実は部下思いのいい人だった……という組み立ての話。

上司の言は、部下のことを思い遣ってのことだったが、事情を知らない部下がパワハラと誤解した……という話かと思ったが、ブラック企業時代の部長は、間違いなくパワハラである。もっとも、ブラック企業ゆえの組織としてそう言わざるを得ない事情があったのかも知れないが。宇宙人の侵略が始まってからの部長は、確かにいい人である。「会社」という枠が吹っ飛んで個人のパーソナリティが表に出て来たのか。

ブラック企業の話がなくても、宇宙人の侵略に立ち向かう部長と山田、やがて周囲の人を巻き込んで最後は宇宙人に勝つ、という展開は、なかなか胸を熱くさせるものがある。ギャグよりヒロイック・ファンタジーに分類されるべき作品のように思える。



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「初恋今恋ラブレター」1-6

1巻は2019年月12日刊、電子版は2019年10月18日刊。6巻は2020年12月30日刊、電子版は2021年1月29日刊。全6巻かと思っていたが、6巻のあとがきには「次の7巻は……」という記載があり、まだ続いていく予定のようではある。が、今のところは6巻まで。

川口カズヤと戸田ミキは高校の同窓会で顔を合わせる。二人は小・中も同じだったが、これまでほとんど絡むことがなかった。ミキはカズヤのことを最初は覚えておらず、かろうじて容姿を思い出した。そんなミキの様子を見て、カズヤも、自分もよく覚えていない風を装うが、実は小学校の頃からずっとミキが好きで、せっせと渡せないラブレターを書き続けていたのだった……

そんな二人が、同窓会をきっかけに話をするようになり、会ってご飯を食べたりするようになり、徐々に仲良くなって同棲するまでを描いたもの。第一話が同棲開始前夜で、そこから時間が遡って語られるため、「とにかくこの二人はくっつく」ことがわかって安心できるのがいい。

二人の近くにいる、与野とユミのカップルもいい。「天然ギャルの川口さん!」における石伊と空木の立場だな。



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「天然ギャルの川口さん!」

  • タツノコ。「【完全版】天然ギャルの川口さん!」

2020年2月18日刊。分冊版が6冊出ているが、これはその総集編+アルファの完全版。とはいえ表紙や予告編なども含めて70ページ足らずのコンパクトな本。

川口(女子)は山本の幼なじみで、小さい頃から一緒に遊んでいた仲。容姿端麗で性格も良い……が、唯一の欠点は天然であること。そんな山本も、恋愛沙汰にはさっぱり疎い、というか女性の気持ちに鈍感。川口は山本が好きで、割とはっきりと態度に出しているのに、それに気づかない。

共通の友人である石伊虎次郎、空木(うつろぎ)らむは、もて男の水野仁にも協力させて二人の背中を押す。晴れて二人は両想いに。そして……

長い話ではなく急展開で進むのはプラス。山本が川口を意識する前の二人の仲の良さがいい。川口が山本を好きになるのもうなずける。「付き合う前も仲がいい」というのはいいなあと思う。



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「ある幼なじみが結婚するまでの話」

2020年9月10日刊。ネット広告で第一章の前半を見て、即購入した。

小学生のカズとメイが手を繋いで歩いていて、それを冷やかす輩にメイが「仲良しで悪いか!?」と怒鳴るシーンがある。カッコよかったし、なかなか萌えた。

ただ、残念ながら小学生時代はあっという間に終わり、中学生になったら変に意識してあまり仲良くできず、メイの両親の離婚に伴いメイは引っ越し、大学生になって再会。ここからが本番になる。

しかし大学生から結婚までとなると、普通の大人の恋愛物語とさして変わらないわけで、まあそれはそれでよかったけれど、自分としては、子どもどうしで仲の良いところがもっと見たかったなと思う。



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「オフ会したら妹がきた…」(新刊)

  • 根田啓史「オフ会したら妹がきた…」

2020年1月8日刊。先月だが一ヵ月経っていないから新刊扱いでいいだろう。これは第一章で、第二章があるらしい。

カツアキは、ネトゲでいい感じになったうらんと直接会うことになったが、やってきたのは妹だった、という話。あわてて逃げたのでバレていない。実生活では妹は兄のことを嫌っていて、顔を合わせると罵倒の嵐だが、ネット上ではカツアキにベタ惚れで、ぐいぐいくるのに戸惑っている……

妹のツンデレぶりが極端でかわいい。普通のツンデレは同一人物に対してのものなので、ここまで極端にはならないが、妹は兄とkatsuは別人だと思っているから酷いことになっている。

しかしラストページ、もしかして妹も気づいている……のか?



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「雨の朝サブは」(全14巻)

  • 原作・梶原一騎、作画・下條よしあき「雨の朝サブは〔完全版〕」1 - 14

プレイコミック連載作品(1979/9/13~1981/12/24)。当時、秋田書店から単行本が刊行されたが、1981/5/14号分までしか収録されず(全5巻)。約20年経過し、ようやく電子書籍で完全版がリリースされることになった。ただしkindle版は一巻が約100ページで通常の単行本の半分程度の量しかない。

腕力に恵まれたサブは無為な日々を過ごしている。父親は元ボクサーだが試合で失明した。事故とはいえ父を失明させたボクサーは、ボクシングから足を洗うと約束したはずだが、ボクシング・ジムを立ちあげ、世界ランカーを育成するまでになっていた。それを知ったサブは怒り、喧嘩を売るが、その息子である赤尾研二に軽くあしらわれてしまう。赤尾研二は将来を嘱望されるボクサーであり、デビュー後は破竹の進撃でたちまち全日本のランカーになる。研二を倒すため、サブもボクシングを身につけ、あとを追うが……

あしたのジョー」という作品のある梶原一騎が、再びボクシング作品を手掛けることになったが、ボクシング漫画としては見どころがない。相手が強い強いというが、どこがどう強いのかよくわからないし、その強さにどう対抗しようと、どういう練習をしてどういう技術を身につけたのかもよくわからない。まあ前半のライバルは赤尾研二のみで、ほかはすべてザコキャラなのかも知れないが。クロスカウンターやトリプルクロスカウンターなど、「あしたのジョー」でおなじみの必殺技も飛び出すが、「あしたのジョー」で知っている技とはかなり違うので戸惑う。

恋愛ものとしての側面が強い。表向きスポーツ漫画で、ここまで恋愛を描いたのは梶原一騎としては珍しい。ただし、女性の身体をモノ扱いし、「賞品」として「よこせ」と言ったり「あげる」と言ったり……が中盤までうるさいくらい繰り返されるのは、梶原一騎らしいとは言えるが、時代錯誤も甚だしい。当時もそうだったろうが、今読むとうんざりさせられる。

とはいえ、度重なるやり取りの中で、赤尾研二の妹・火鳥と強く愛し愛されるようになるいきさつはなかなか説得力があるし、ついに結ばれた時はそれなりにカタルシスがあった。その翌朝、サブが「もう雨は降らない」と言ったのも印象的だった。

これは梶原一騎作品だということを甘く見ていた。せっかく思いが通じ合えたのに、その日の夜、火鳥は殺されてしまう……。以後は自暴自棄になったサブが、再起する様子を描いていくことになる。

本作で特筆すべきは、主人公が幸せになることだ。「あしたのジョー」は言うに及ばず、「巨人の星」「タイガーマスク」「愛と誠」など、代表的な梶原作品は、最終回で主人公が破滅するか死ぬ。「男の星座」は作者が死ぬ。実録の体を取っている「ジャイアント台風」や「キックの鬼」はさすがにそんなことはないが、とにかく不幸になるか、せいぜいが現状維持。全作品を検証したわけではないが、ハッピーエンドは本作だけなのではないか。

サブは世界チャンピオンに挑戦するも及ばず、セコンドがタオルを投げてのTKO負け。ダメージを引きずらず、その後約5年、第一線で活躍。引退後は葉山マキと結婚。心に傷を負う者同士だが、いまは朝目覚めて心に雨の音を聞くことにない日々を送っている――という。ラストシーンのサブは、「ケンカ屋サブ」の面影のない、爽やかな顔立ちだ。あまりにも驚いたので、記録しておく次第。


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「聖女と魔王の偽装婚約」2

  • 原作・鳥原習、作画・海野電球「聖女と魔王の偽装婚約」2(講談社シリウスコミックス)

2023年1月30日刊。

本巻は諸侯会議。魔王が直轄する四つの領地の領主(魔王に次ぐ力を持つ魔族)が、半年に一度魔王城に集まって政治について話し合うこと。ヒナタは会議そのものには参加しないが、顔合わせと交遊は行なうことになる。そして南鬼領主の弟に、巧妙なやり方で契約魔法をかけられてしまう……

ヒナタは魔王と南鬼領に赴き、結局、南鬼が抱える課題の解決に力を貸すことに。

ヒナタは(魔王も)頭の回転が速く、胆力も行動力もある。ただし、恋愛方面はとんと察しが悪い。ヒナタと魔王は本気で相手のことを好きになっているが、互いにその気持ちを確かめ合うに至らず。自分自身でも認識しきれていない様子。

壮大な物語になりそうだ。



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