鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「友達がスカートはいてみたいって言ってきた件」1、2

  • 寺井赤音「友達がスカートはいてみたいって言ってきた件」1、2

寺井赤音はいくつかの連載を持ち単行本もたくさん出ている漫画家だが、本作はtwitterで公開している作品で本書は自費出版ぽい。1巻は2020年5月、2巻は2021年7月刊。

最近、女装男子の話が急激に増えていると感じる。「女装男子」というのは、「一般的に女性向けとされる服やアクセサリを身につける、医学上男性とされる人」のことだが、内容はいろいろである。

「女性の格好がしたい」と思う人がいて、これは性自認が女である場合や、好きな相手が男である場合などがある。一時期話題になった、風俗系女装クラブなどは、変身願望や逃避願望を満たしたい人のためではないかと思うが、漫画で読んだことはない。

一方で、自分に似合うもの、自分が好きなものをたどっていったら世間では女性向けとされるものに行きついたというだけで、「女」装がしたいわけではない、性自認は男性だという人。以前紹介した「ナツキくんは今日もキレイ」の小田原名月や「かわいすぎる男子がお家で待っています」のハルはこのタイプだが、最近増えているのはこの流れだと思う。嗜好の多様化が認知されつつあるのであれば結構な話だ。

こうした漫画の先駆的存在はもちろん「ストップ! ひばりくん」であろう。地味だが「大阪ハムレット」も忘れられない。この時の深刻さにくらべれば、時代は確かに変わったと思う。

さて、本作では「自分に似合いそうだから」とスカートやツインテなどを試してみて、思った以上に似合い、また可愛くなることに気をよくした主人公がどんどん嵌まっていく様子を描いたものである。コミカルではあるが、そのような(人によっては異常だとされかねない)趣味を、友人が生ぬるく応援しているところがいい。

ただ、本人は意識していないと思うが、この友人のことが好きなのではないかという気もするのだ。

今のところ2巻が最新刊。続刊があるのかどうかは不明。続きがあれば読みたい。



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