鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「訪問者ぶたぶた」

2008年12月20日刊。文庫書き下ろし。「神様が来た!」「伝説のホスト」「気まずい時間」「ふたりの夜」「冬の庭園」所収。連作短編集(だと自分は思うのだが、作者はあとがきで「連作短編ではない」と書いている。それぞれの話はつながっていない。ただしすべてに「山崎ぶたぶた」というぬいぐるみが登場する。私はこれで「連作」の要件を満たしていると思う)。

蔵書の再読。ぶたぶたシリーズは一時期好きで、何冊も持っているはず。発掘されたのはこの一冊だけだが。久しぶりに「個々の話の細部までは覚えていないが、買ったことも、読んだことも覚えている蔵書」だ。

それにしても、なんて心の温まる話なのだろう! 作者が「実際に描くのはぶたぶたと出会う人間たち」と書いていて、すとんと腑に落ちた。そうか、これはぶたぶたの話ではないのだ。こういう人がいる、ああいう人がいる、ということを描いているのだ。



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