鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「同棲終了日記~10年同棲した初彼に34歳でフラれました~」

  • おりはらさちこ「同棲終了日記~10年同棲した初彼に34歳でフラれました~」(双葉社

昨日名前をあげたので、再読してみた。

題名に惹かれて購入し、その時は価格に見合った内容だと特に不満は感じなかったが、読み返してみると、本作は「題名がすべて」という印象だ。

10年一緒に暮らしてきた人と別れる羽目に陥ったのは、さぞつらい体験だっただろう。ただ、個人ではなく漫画家としてみれば、離婚とも違う、普通の人がなかなか経験しない稀有な体験であった。そして実際、作品を出版してくれる出版社があり、タイトルを見て購入しようと思った人がいたわけだ。

まだ仲が良かった頃、二人の生活をブログにアップしていたそうだが、そのブログに掲載された作品がいくつか採録されている。それを見て、あまり幸せそうに感じられなかった。欠点を指摘したり、悪口を言い合ったりするのは、「仲良し」であることを前提とすれば、一種の惚気であると言えないことはない。よく友人同士の飲み会などで、恋人や配偶者の愚痴を言う人に対して、周囲が「惚気よ、惚気! 夫婦喧嘩は犬も食わないってねー」などと反応することがある。

そういう側面があるのは事実だろうが、そこは作品として表に出すことなのだろうか。のちに別れたことを知ったあとで読むと、なんとなく殺伐とした印象を拭えない。いわゆるバカップルというのは逆で、周囲が気恥ずかしくなるほどベタベタと仲良くしているものである。そういうエピソードもあっただろうけど、切り取り方に違和感を持ったということだ。

以上が漫画作品に関する感想。以下は内容に関する感想。10年一緒に暮らしていながら籍も入れず、親にも会わなかった(会せなかった)のは何故だろう。一生この人と添い遂げるのだという決意がなかったということなのだろうかと無粋な想像をした。一生この人と暮らしていくんだろうなと漠然と想像していたようだが、漠然と想像するだけではなかなか実現しない。確固たる決意がないとね……。あっても壊れることがあるのが結婚生活というもの。なかったらなおさらだろうな、と。


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