鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「わがままなオリーブ」1

紙版は1993年7月1日、少年画報社より刊。ヤングキング連載作品。

有村しのぶは自分が学生時代に一世を風靡した作家だ。今となってはかわいい内容だが、当時はこの程度でもエロ漫画に分類されていて、だからこそ本作を読むのにちょっと背徳感もあってドキドキした……

高校生の「弟」と大学生の「姉」が二人で暮らしている。両親は仕事で海外に。ある時姉が「友達」と宅飲みをする。酔った友達が、ちんちんが見たいと言い出し、姉が、それなら弟は今寝ているから、今のうちにパンツをおろして見てみようと言い出し、二人して実物を見て触って遊ぶ。目が覚めた弟は、俺だけ脱いでいるのは不公平だと怒る、友達がその通りだと脱ぎ始める……。オチは、翌日、二日酔いで姉も友達も、前夜の乱行を何一つ覚えていなかった、と。

何のひねりもない、ありえねーっと叫びたくなるスカスカの話ではあるけれど、とにかく女性がきれいで、プロポーションがよく、裸もうまい。要は、女性がかわいくて裸がきれいに描いてあるという「ただそれだけ」なのだけれど、この、女性の裸がきれい、という点では当時は他を圧倒するレベルであり、それで抜群の人気があったのだ。

夕月光とか国友やすゆきとか、ホンマもんの一流の作家がどんどんてらいなく女性の裸を描くようになり、エロ漫画誌ではなく一般の漫画誌にもどんどん裸があふれるようになり、結果、裸のレベルがどんどんあがると、自然にこうした作家は淘汰されるようになっていった……のではないかと考えている。

有村しのぶはまだ現役で、作品を発表しているようだが、Wikipediaにも項目がなく、詳細は不明。一時期はあれほど人気のあった人なのに、インターネットが一般的になる前に人気のなくなった人は、Wikipediaにも載らないのかと思うと、別の意味で感慨深い。



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