鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「恋するヤンキーガール」1

  • おりはらさちこ「恋するヤンキーガール」1(アクションコミックス)

このサイトでは主に自分が興味を感じた本のみをとりあげ、批判だけ書くのはなるべく避ける方針だが、「目黒さんは初めてじゃない」との比較のため、少し前に読んだ本を紹介することにする。

不良の須藤アヤメが風間ナギに恋をした。風間を呼び出して「ちょっと付き合えや」と言ってみたところ「は……はい」という答えが返って来て交際成立。というところから物語が始まる。

風間は喧嘩が強いわけでも成績優秀というわけでもなく、どちらかといえば目立たないタイプで、須藤が風間のどこを好きになったのかはわからない。風間はなにしろ相手が不良なので、怯えており、本当は断わりたいがそれもできず、ずるずる付き合っているうちに、須藤が見てくれとは違いとても純な心を持っていることが少しずつわかり……

パターンとしては「目黒さんは初めてじゃない」と共通する部分がある。しかし、決定的に違う部分もある。

冒頭で須藤が風間に告白するシーン。この時、風間は一人だが須藤は一人ではない。ナデシコ・ぼたん・あんずなどの取り巻きがいる。風間にしてみたら数で囲まれて脅迫されているようなものである。そして風間の態度に問題ありとみると、こいつらが須藤抜きで風間を呼び出し、文句を垂れる。また、風間も風間で、須藤について知りたいことがあっても直接聞かずにあんずに聞いたりする。

要は、この二人は向き合っていないのだ。好きな人について気になることはたくさんあり、いちいち相手に聞けないから、友人に相談する、というのは誰でもやることかも知れないが、程度問題である。本作では、両思いとは言えないかも知れないが、少なくとも須藤は風間が好きなのだから、須藤は風間にきちんと向き合うべきだし、友人はそれを見守るべきだ。その覚悟がない人は、人を好きになってはいけない。少なくとも、告白をしてはいけない。と、自分は思う。

「目黒さんは初めてじゃない」では、とにかく目黒も古賀も相手のことをきちんと見ている。見ようとしている。そして、相手が自分ことを見ているということを知って、少しずつ心のつながりが育まれていくのだ。そこがいい。

おりはらさちこの作品は「同棲終了日記~10年同棲した初彼に34歳でフラれました~」が面白かった。こちらはお薦めだ。



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