- 雨穴「変な家2 ~11の間取り図~」(飛鳥新社)
2013年12月15日刊。満を持しての続編。
前作が話題になったため、たびたび相談が持ち込まれるようになり……という、本当にあった案件のような体を取っている。その数は11。当初は11の短編小説なのかと思ったが、そうではなく、全部つながった話だった。
個々の話は完結しない。「え、結局どういうこと?」という不完全消化のまま次の話になる。また、同じ会社名や同じ状況が繰り返されるため、これらはつながった話で、最後に解決するんだな、ということは早々に気付く。とはいえ、これだけバラバラな話がどう決着がつくのかハラハラしながら読み進めると、最後は見事に筋の通った謎解きがなされる。この手法は「変な絵」と同様。よく考えれば荒唐無稽な話なのだが、そこへ一気に話を持っていく剛腕さは、さすがは雨穴ならではの手腕だろう。
書き方は戯曲風というか、地の文もあるのだが、会話が始まると会話の主の名がいちいち明記され、カギ括弧がつかない。これは前作もそうだった。「変な絵」はそんなことはないから、作者の書き癖というわけではない。意図的に書き方を変えたのだろう。出版社の意向かも知れない。小説としてはどうかと思わなくもないが、こちらの方がわかりやすいのは間違いない。