鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「将棋の渡辺くん」(既刊7巻)

読み返したら面白くて止まらず、結局第一巻から最終巻まで通読してしまった。つくづく、本作は傑作だと思う。

なんといっても面白い。これは主人公の強烈なキャラクター性、見た目は強面なのに性格が可愛いギャップ萌えとかいろいろな要素があるが、実話ベースの話をうまくまとめる作者の技量の賜物である。

話がわかりやすい。将棋や棋界に予備知識がなくてもすんなり読めて面白く、知らず知らずのうちに将棋通になる。

絵がうまい。主人公だけ極端にデフォルメされているが、羽生さんといい藤井くんといい、伊奈のタッチなのにそっくりである。

将棋が人気だというが、藤井くんのアイドル人気におんぶに抱っこでは一過性のものでしかない。将棋にも将棋界にも詳しい作者のこうした書は、多くの人に門戸を広げたはず。その重要性はもっと認められてしかるべきだ。

「ナンバー」は次に将棋の特集を組む時は、必ず伊奈めぐみに協力してもらわなければいけない。

羽生さんの自叙伝とかを漫画で始めたら面白いと思うが、どうだろう? もちろん作画は伊奈めぐみで。主人公が羽生さんなら星野泰視もよさそうだけど。

とにかく、自分が推すほど本作が世間に認められている気がしないのが残念だ。こんな辺境のブログに書いたところで訴求力はないが、作者は結構エゴサーチをしているらしいから、せめてこの小文が目に留まってくれればと思う。