鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「穴殺人」4

  • 裸村「穴殺人」4

またまた急展開。よくぞこんなに振り回してくれるものよ(褒めている)。

前巻で黒須は榊につかまってしまい、調査に来た刑事(鈴木とシュナイダー)のうち鈴木は殺され、シュナイダーは拘束され榊に弄ばれる。それを見た黒須は怒りで榊に殺意を覚え、拘束を脱し、屋敷に火をつけ、榊を襲う。が、あっさり返り討ちに合い、殺されかかるが、救出にきたのは宮市だった。

宮市はナイフで榊の首の頸動脈を切ると、興奮して黒須に抱き着き、胸元をはだけて激しいキスを繰り返す。そして恍惚の表情を浮かべると黒須にナイフを突き立ててしまう。我に返って謝罪するが、宮市は自分の「本当にやりたいこと」に気付いてしまった……

榊は死なず、逮捕された。黒須の傷も榊によるものだとされた。治療して傷が癒えた黒須は宮市とデート。宮市は黒須に、未来の自分も過去の自分も愛してほしいと言い、自分がいかにしてシリアルキラーになったかを語る。幼かった頃から、黒須と知り合った時のことを宮市の視線で語り、そして告げる。黒須と付き合ってやっとわかった、誰彼構わず殺してはいけないのだと。もう人は殺さない、次で最後にすると……

つまり、愛し愛された相手を殺す時のみ真のエクスタシーを得ることができる、だから黒須を殺して最後にするというわけだ。それを聞いた黒須は結婚しようと言い、それを聞いた宮市は涙を流して喜ぶ。

シュナイダー刑事は、宮市の周囲に異常な殺人事件が頻発することに疑問を抱き、宮市こそが殺人犯だとほぼ断定するも証拠がなく、証拠を固めるべく、3巻で黒須が助けた被害者の妹(山際春子)に協力させて独力で調査を開始する。

逮捕されていた榊は留置所を脱出。黒須を殺すべく、結婚の準備を進めている黒須&宮市のもとへ向かう。そのことに気付き、黒須に警告を発したのは、一巻で登場した死体処理の担当者だ……。

宮市が黒須を殺したら話は終わるだろうが、全8巻のはずがまだやっと半分である。これからどんな山や谷があるのだろうか。

2巻の感想で「エッチなシーンは全くない」と書いたが、4巻ではやや官能的なシーンが垣間見える。榊がシュナイダーを下着姿で拘束し、身体を舐めまわすシーン。そして榊に対して殺意を抱いた黒須に感動した宮市が、キスを求めるシーン。相手が好きで、相手に自分を好きでいてほしくて、何度キスしても物足りないという気分はわかるな。殺意の有無はちょっとアレだけど。

ところで、宮市の過去を知り、愛する人だけを殺したいという希望を聞き、殺される覚悟を固めた黒須だが、処女と童貞のままでいいのだろうか。死ぬまでに結ばれたいとは思わないのか。いや、思っているはずだが、その気持ちを宮市に伝えなくていいのか。



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(2020/6/30 記)