鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「穴殺人」2

  • 裸村「穴殺人」2

本巻では結婚詐欺&保険金殺人犯の藤浦かよが登場。宮市は、これまで殺したのは男ばかりだからたまには女を殺してみたいという理由で藤浦をターゲットに定め、黒須を囮に差し出す。藤浦の罠に嵌まり、黒須はゆっくり殺されかけるが、あわやというところで宮市が登場。藤浦を抵抗できないようにし、黒須に殺すよう示唆するものの、黒須が躊躇しているところへ刑事が踏み込んでくる。彼女は逮捕され、宮市の殺人は回避された……

一巻ではいろいろなことが詰め込まれてジェットコースターのように振り回されたが、今回は藤浦かよとの関係をじっくりと描く。とはいえ、宮内が刑事を殺して藤浦に罪をなすりつけたり(それを警察が信じたり)、警察に追われる彼女を匿うよう黒須を指示したり、黒須が彼女に殺されかけたり、ジェットコースターな展開は変わらない。

宮市が人を殺すことに何の躊躇も罪悪感も感じておらず、いとも簡単に手を下すのは小気味いい。リアルでないことを批判する意見もあるかと思うが、このような残虐な話は、完全な物語の世界だと実感できるように、アンリアルな方が自分の好みである。あそこまで無造作に次々と人を殺していたら、いくらなんでもバレないはずがないと思うが、そこもファンタジーならではだろう。

宮市は黒須のことをどう思っているのか。恋心を抱いていないのは明らかである。といって、アリバイ作りのために付き合っているふりをしているというわけでもなく、なんらかのつながりは感じているようである。では黒須が藤浦の手にかかって弱らせられたり、殺されかかったりするのを宮市はじっと観察しているが、これはどのような心境によるものか。自分が出ていくチャンスをじっと待っていたのか、この程度で黒須は死なないと信じていたのか、人が殺されるのを楽しんで眺めていたのか。無表情な宮市の顔からは読み取れない。

第一話は宮市のオナニー姿を黒須が壁の穴ごしに覗くシーンから始まった。いろいろと、あんなことやこんなことも起きるのかと期待したが、本編ではエッチなシーンは全くない。本巻ではいつの間にか宮市は引っ越してしまい、黒須が穴から覗くこともなくなってしまった。

かつて宮市に殺された男の妹が黒須を訪ねて来るところで二巻が終わり。兄が行方不明なので相談に乗ってほしいと言って。続きが気になるに決まっているじゃないか。


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(2020/6/29 記)