鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「汝、隣人を×せよ。」2

  • 亜月亮「汝、隣人を×(バッ)せよ。」2

1巻では、ひじめの被害者が一殺権を行使することになり、一人だけの相手として誰を選ぶのか? というミステリー風の話もあったが、基本的に選ばれた人は読者から見て「殺されても仕方がないな」と思えるような人だった。つまり漫画的には「こういう制度もありじゃね?」と思わせてくれるようなリアリティがあった。

この路線がずっと続くのかと思ったが、2巻では、この制度上の矛盾を突くような話が登場する。

「一生一殺法」を利用して自分の親や配偶者を殺した場合、遺産を相続することはできない。財産目当てを防ぐためだ。が、これの裏をかいて、AがBを殺したいと願い、XがYを殺したいと願っているとき、AとXが共謀してAがYを、XがBを殺益するという話。

また、殺すに値する人物だと判断して殺益を行使したが、実は誤解で、ただ真面目で不器用なだけだったことがあとでわかった、という話。

こういう事態が簡単に許容されてしまうのだとすると、かなり問題だと思わせる。だからこそリアリティがあるともいえる。

よく考えられた話だ。



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