- 龍幸伸「ダンダダン」1(ジャンプコミックス)
2021年8月4日刊。
オカルト好きのオカルン(高倉健)はクラスのいじめられっ子。綾瀬桃が一度かばってくれたことから綾瀬に好意を持ったオカルンは勇気を出して話しかけるが、コミュ障ゆえに普通に話せず、綾瀬を怒らせてしまう。その結果、UFO(UAP:未確認航空現象)は信じるが幽霊の存在を信じないオカルンと、UFOは信じないが幽霊を信じる綾瀬との争いになり、それぞれのスポットへ各々同時に向かうが、綾瀬は宇宙人に拉致され、結果、潜在的に持っていた超能力を開花させてしまい、一方オカルンはターボババアという凶悪な幽霊に取り憑かれてしまう……
また新しいタイプの面白作品が出て来たな、と驚いた。最初は高校生のラブコメかと気軽に読み始めたため、冒頭からガツンとやられた。
オカルト漫画は珍しくないが、取り憑かれた人間が、その力をコントロールして敵と戦う、というのは斬新だ。もっとも、元をたどれば、悪魔の力を手に入れた不動明が、その力を利用して悪魔と戦うところまで行き付くのかも知れないが……。さらに宇宙人との三つ巴の戦いである。今のところ宇宙人は、綾瀬の能力を開放するために登場し、その後のストーリーに絡んでいないが、あのようなアブナイ宇宙人が地球に存在するとなれば、それで済むはずがない。
もちろん、恋バナもある。これはこれでなかなかいい。
綾瀬は恋して晴れて付き合い始めた彼氏が、金貸せヤらせろどっちもイヤなら別れる、というクズ男だったことが判明し、むしゃくしゃしている時に、オカルンがいじめられている現場に出くわす。綾瀬は、特別な正義感の持ち主ではなく、喧嘩が強い訳でもないが、救いの手を出すタイミングが自然だ。
オカルンは物心ついた時から友達がおらず、宇宙人なら友だちになってくれるのではないかとの思いからUFO(UAP)を信じ続けた。そんな矢先に自分をかばってくれる人が出てきた。だから、仲良くなりたくて話しかけるが、うまく話ができず怒らせてしまう……という流れもすごく自然だし、そうなるよねーとよくわかる。
オカルンが綾瀬に抱いている気持ちは恋とは違うが、綾瀬とは自然に話ができるようになったことに驚き、親しみの情がますます強くなる。綾瀬はもともとオカルンのことが好きというわけではないのだが、急に濃密に話をするようになり、生死を共にしたことから、強い親愛の情を抱くに至る。これも自然だ。
冒頭で綾瀬を拉致した宇宙人は、彼女の服を脱がせて下着姿にし、両手両足を拘束したり、綾瀬の祖母の見た目が異様に若く、母(むしろ姉)としか思えない顔立ちで、胸元が異様に強調された服を着ていたり、オカルンが綾瀬の目の前で排泄させられたりと、チクチクとそういう場面が挟まれているのもご愛敬。
さて、まずはオカルンに取り憑いたターボババアとの対決である。