- 島本和彦「ワンダービット」6
サブタイトルは「ハルマゲドン失敗す」(下)。
第44話「クライマックスがお好き」、誰かの短編小説で、最終回だけをまとめた本があったような気がする。さまざまな長編の最終話だけを集めた編集本ではなくて、最終回しか描いていないもの。そんなことをやりそうな作家と言えば、和田誠かなあ……。何の説明もなくクライマックスだけを描いているわけで、まさにここで島本が言っていること。本作は最終回のひとつ前を描いたために読者(これは編集者かな)の不満が爆発して失敗作になった。
第45話以降は、これまでの総括をすべく、いろいろなパターンの終わりを見せてくれている感じかな。
全6巻を俯瞰すると、他ではあまり見られない島本の魅力が出ている、とも取れるが、いわゆる「島本節」がそれほど炸裂しているわけではない。異色の作品集である。