しつこくプロファイリング(というほど大層なものではないが)を続けてみる。
佳乃の勤め先は鎌倉八幡信用金庫(もちろん架空)である。で、ちょっと疑問がわく。
本当のところは知らないが、一般に金融機関は、行員を採用する際、特に女性を採用する時は、単に成績とか学歴だけではなく、身元というものを気にするのではないか。
別に良家に生まれた人がみな善人ということはないのだが、とにかくひとさまのお金を(それも半端でない額を)日々扱うわけで、係累のないような風来坊なんかに扱わせた日には、いつお金を持って失踪されるかも知れないし、そうなったら跡を追いようがない。地元で生まれ育ち、家族親類も多ければ、簡単には捨てられないだろうし、逃げても跡を追える可能性が高いし、もっと言えば、本人を追いかけなくても家族に責任を追求することもできる。……というようなことは、ある程度は考えるのではないかと思うのだ。
佳乃は鎌倉で生まれ育ったようだが、なにしろ就職する時点では保護者といえば7歳上の姉がいるだけ。祖父母も他界しているし、両親は……生きているのだが、それぞれ別の家庭を持って、子どもの面倒は全く見ていない。恐らく金銭的な援助もしていなかっただろう。
一般企業なら問題にならないとしても、金融機関はこうした家庭の子を敢えて採るとは思えないのだが、最近はコンプライアンスだなんだとうるさくなって、入社試験の成績以外の要素で採用を決めると大問題になる……とかいうことがあるのだろうか。
それとも、亡くなられたとはいえ、高校の校長を勤めた祖父、中学の教師を全うした祖母の名前が生きていて、「ああ、あの香田先生のお孫さんですか!」ということで決まったのだろうか。
(別ブログより転載/original : 2010-03-04)