鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「脱獄のカザリヤ」2

  • 原作・天下雌子、作画・CHIEKO「脱獄のカザリヤ」2(マンガボックス)

2023年7月26日刊。

矯正院での生活が始まる。矯正院内で労働をするとミントと呼ばれるお金をもらえ、それで食事の時におかずを買うことができる。そのほかにも、いろいろな使い道が……

矯正院内のボス、瑠美登場。真紀がフルネームを名乗ると、「飾矢」に反応した。萌絵のことを知っているのか……?

情報屋マーサ登場。院内の情報を売り買いしている。ただし外に出る方法は売れない。なぜなら、外には出られないから。

真紀のもとに萌絵からヘルプのメモが届く。驚いて追いかけようとする真紀だが、看守を突き飛ばしたことで電気牢の懲罰を受けることになった。看守長の馬場あかりは、真紀が部屋のボスに就いていながら林梨花がボスであるふりをしていることを知っていた。てっきりマーサが漏らしたと考えた真紀はマーサを責めるが、知らないと言う。真紀は、同房の人が漏らした可能性に思い至る……

萌絵はなぜこの矯正院にいるのか。なぜ真紀が矯正院に入って来たことを知っているのか。萌絵から真紀に手紙を出すことはできるのに、会いに来れないのはなぜか。萌絵の存在は、瑠美は知っているようだが、馬場あかりが知らないのはなぜか。今のところ大きな謎はこのくらいか。

刑務所とか矯正院での人権を無視した厳しい生活、違反した院生に対する理不尽な暴力や懲罰。腕に覚えのある者がやり返す。また、可哀想な子どもを保護するための施設が虐待をしていること。これらは梶原一騎がさんざん描いてきた。さらにこうした閉鎖空間で貨幣をはびこらせると、貨幣経済が発達し、本来売買してはいけないものが売買されるようになるのは「カイジ」でも描かれた。その点は目新しさに欠ける。もっとも「カイジ」では美女が登場しない。そういう意味では本作は十分目新しいが……

なお、「特別教練」も本格的の紹介された。ラウンド1は、何かの勝負をして負けた方が観客の性処理の対象にされる(ただし高額なミントが支払われるので、割り切れば稼ぎ時でもある)。ラウンド2は臓器提供。ラウンド3は死で、なぶり殺しされる様子を富裕層の人が見て楽しむものだそうだ。じめにエロが絡むのも梶原一騎を彷彿させる。臓器提供は現代風だ。



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