鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

やはり傑作「ハナコ月記」

ハナコ月記 (ちくま文庫)

ハナコ月記 (ちくま文庫)

単行本は持っているのだが、単行本未収録作品を加えた完全版、ということだそうで。海街Diaryについてあれこれ調べている途中でそういう本があることに気付き、さっそく注文。

単行本の「ハナコ月記」は、当時付き合っていた人と二人で繰り返し読んで、「あるある」「あるよねー」と盛り上がったもんだ。あの時よく話題になったのが、これは吉田家の実話なのか? ということ。エッチする前に30分くらい布団の中でもぞもぞして遊ぶ、とか、プロ野球ニュースを見ていたと思ったらいきなりHになだれ込む男の心理が理解できない、とか。

でも、ハナコさんは26歳の設定だけど、秋生ちゃんはもっとずっと年上だろうから、やっぱり相当のデフォルメがあるんだろうな、とか。カリフォルニア物語を読んだのは高校生の時だっけ? 当時、吉田秋生はプロになって何年目か……とにかくそれなりの年齢の人だと思っていたから。

改めて確認してみると、「ハナコ月記」を書き始めた時の吉田秋生は31歳。ハナコさんと5歳しか違わないわけで、その時秋生ちゃんに一緒に暮らしている相方がいたのかどうか知らないけど、似たような生活を送っていたのではないかなあ。

第一話が、いきなり一緒に寝る話で、しかもハナコさんが「なんだ、今夜はナシか」とつぶやくところから始まる、ギャグ調だけどなかなかショッキングだった。その後もたびたびエッチネタが登場したため、ドギマギしつつも、熱心に読んだのだった(笑)。

ところが、あるところからエッチネタがなくなり、倦怠期の夫婦のような雰囲気になってきた。まあ、最終話まで6年の年月が経っているのだから、やむを得ないか。未収録作品も、いわゆる日常ネタ。僕は、こうした日常ネタは好きなのだけれども。

(別ブログより転載/original : 2010-03-10)