最近は本を読む時間を確保するのも難しく、以前より読書量が落ちた。それでも面白そうな本を以前と同じペースで買っていると、当然、読めない本が増える。そもそも豪邸に住んでいるわけではなく、本を置くスペースも限られており、なるべく本は買わないようにしよう、と思っていた。
しかし、東陽町の文教堂にふらりと入ったら、入口近辺に「当書店が自信をもってお薦めします」みたいなPOPとともに本書が山ほど平積みにされており、その誘惑に勝てずに購入してしまった。
小林泰三は「玩具修理者」を読んだことがある。それなりに面白かったけど、同じ作者の本を読み漁るほどではないと考えたのだろう、その一冊だけだった。当然、氏がミステリ作家だとは知らなかった。
本書は短編集である。バラエティに富んでいるが、バカミスっぽいものも、ユーモアが上滑りしているものもあるいが、それでもやはりミステリーは面白い。区切りがつくところまで読まないと我慢できないのは難点だが、短編集は僕のように細切れの時間で読書をする人間には向いている。
ミステリ専門の作家ではないが、ミステリもかなり手がけているらしい。機会があったら――いや、そういう考えはやめておこう。
