2巻の途中から存在感を発揮する黒猫は本巻も出ずっぱりだがそのエピソードは省略。
面白かったのは町内会のエピソード。甘木さんと言う人(これもしかして「某」さんを分解した名ではあるまいな)が、町内会は年寄りの暇人がやっているだけ、入っても面倒を押しつけられるだけでいいことないから入らないという。「ゴミの収集方法が変わったのを回覧板で知った」という人に「それは市が広報すべきこと、なぜ町内会にお金を払って情報をもらわないといけないのか?」などと息巻き、町内会に入っている人を「お人よし」呼ばわりする。
が、彼女の息子(5才)が迷子になってしまい、ジョーをはじめ町内の人の協力で無事に見つかるという事件が起きる。子供は早くに区民館で保護されていたのだが、どのうちの子かを見つけるのに手間取った。町内会に入っていればもっと早く家に連れて行けた……というオチである。
ただ、金田のオバチャンが「町内会に入っていないからそんなことになるのよ」とくどくど言いかけると、ジョーは「うるさいなー金田のオバチャンは。そんなんしつこく言うから入りたくない人が増えてんのよ」とビシっと言う。ただし甘木に対しても、役所は市民に情報をちゃんとお知らせしてますよ、と言うのである。「チラシもポスターも(区民館に)常に置いてあります、見に来てください」と。
灯と鷹は、梅ちゃんの娘ではなく、息子の子だった。また、灯が家を出たのは中学を卒業したあとだった。母親の元へ行ったのだが、三年後に再婚することになったため、また家を出たのだった……
灯と鷹の母親はそれぞれ違う。そして鷹は、父親も灯の父親とは違うのではないかと疑っている。自分の母親は男にだらしなかったから……と。そうなると梅とも灯とも血がつながっていないことになる。が、灯の「一緒に住んでいれば家族だ」という言葉を胸に、家族であろうと努力している。ただし梅は、鷹が太叔父に年々似てくるため、息子の子であると確信しているようだ。
梅ちゃんの夫の洋が亡くなった時、もうあたしを梅ちゃんとって呼んでくれる人が誰もいなくなった……と泣いているのを鷹に見られ、以後、鷹は祖母のことを「梅ちゃん」と呼ぶことにした。方向性がちょっとずれているとは思うが、鷹は優しい子なのだ。
これにて完結。面白い作品だが読むのはちょっと疲れたから、ちょうどいい終わり方だ。