鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「ペンションライフ・ヴァンパイア」1(新刊)

2023年7月4日刊。

吸血鬼、狼男、人魚といった人外のもの(本作では「カタラレ」と称される)と人間とは古来争いを繰り返していた。が、50年の冷戦期間を経て講和が成立。ついに地上に平和が訪れた、……と思いきや。

カタラレと戦う戦闘要員は改訂官(リライター)と呼ばれるが、彼らも用済みとなった。多くのリライターはそれを喜んだが、主人公のエリは、今さら普通の生活といわれても何をしていいかわからない。

そんな矢先、吸血鬼のニカがペンションを経営しているのを発見。講和が成ったとはいえ、人間に迷惑をかけないか監視する目的で……という名目で、エリはそのペンションで働くことに。

エリとニカ(と宿泊客)の織り成すドタバタギャグ。奇想天外な物語だ。

登場したリライターは皆高校生だが、なぜそんなに若くして戦闘訓練のみを受けているのか。普通は高校ぐらいまでは一般生徒と同じように授業を受け、ある年齢から専門の戦闘員になるのではないか。また講和が成ったからといって即座に軍隊が解散というのも妙だ。

まあこれは50年という長期にわたる冷戦期間(争いがなく実質的に軍隊は必要なくなっていた)が理由か、と思うが……

ニカと付き合うことで、エリが少しずつ人間らしい心を取り戻していく構図が面白い。



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