鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「天 天和通りの快男児」(その2)

天-天和通りの快男児 4

天-天和通りの快男児 4

  • 作者:福本 伸行
  • 出版社/メーカー: フクモトプロ/highstone, Inc.
  • 発売日: 2013/07/20
  • メディア: Kindle
天-天和通りの快男児 5

天-天和通りの快男児 5

  • 作者:福本 伸行
  • 出版社/メーカー: フクモトプロ/highstone, Inc.
  • 発売日: 2013/07/20
  • メディア: Kindle
天-天和通りの快男児 6

天-天和通りの快男児 6

  • 作者:福本 伸行
  • 出版社/メーカー: フクモトプロ/highstone, Inc.
  • 発売日: 2013/07/20
  • メディア: Kindle

この作品を読んでいて不思議な気分になるのは、主人公はいったい誰なんだろう? ということである。第一話で天(天貴史)という人物が登場する。サブタイトルにある「天和通りの快男児」は彼のことを指す。だからまあ、天が主人公なんだろうと最初は思う。

しかしこの第一話で天の相手として登場するひろ(井川ひろゆき)は、天に負けた後も天と親しくなって毎回登場し、最終話までレギュラーであり続ける。というより、物語はひろの視点で進むのである。天はひろの人生に登場する最重要人物だが、本作の中心はひろだと考えた方が自然である。つまり主人公はひろだ。

と言い切りたいが言い切れないのは、もう一人、主役としかいえない人物がいるからである。それはアカギ(赤木しげる)だ。

アカギはひたすら強く描かれている。2巻の途中で天やひろの敵対側として登場し、天には負ける。が、運もあってその半荘は天が勝ちアカギは勝負をやめてしまったがったが続けていれば最終的にはアカギが勝っただろう……と思わせる展開であったあたりは、主人公の引き立て役ではない。

その後の東西戦では天やひろの味方になり、最強雀士としてチームを引っ張ると同時に、若いひろにたびたびアドバイスをする態度は、これまた単なるわき役では断じてない。

最終章のアカギの死では主役そのものであって他の何者でもない。この頃は本作のスピンオフ作品である「アカギ 闇に降り立った天才」の連載が始まっていたから、作者の中では「アカギは主役」という思いがあったのかも知れないが、初登場時から主役としての風格を備えていた。

もしかしたら「天」以前の作品でもアカギは登場していたのかも知れない。それはわからない。


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(2020/1/26 記)