- 四ツ原フリコ「家政夫のナギサさん」11(ソルマーレ)
内容
まとめ難しい……
結婚を白紙に戻すというナギサに、家事の免除がストレスですか? それとも私が性的なことから逃げていたからですか? と矢継ぎ早に疑問を投げかけるが、お互いに頭を冷やして後日話し合いましょうと言って帰宅してしまう。
妹に相談すると、土下座してナギサさんに謝れと言われる始末。(「私が悪い前提?」「ナギサさんが悪いわけない!」「私もそう思うけど……」)しかし理由を知りたいとメッセージを送っても言いたくないの一点張り。家政夫としての仕事もやめてしまったため、メイの部屋はまた荒れ始めた。
が、ナギサの残した荷物から指輪を見つけると、こうしている場合ではないとナギサの家へ押しかけ、強引に話し合いに持ち込む。
ナギサは自分が20以上も年上だから、自分と一緒になるとメイの未来を潰してしまう、理由を正直に言うとメイは負けん気が強いからそれを否定するだろうと……。また、メイに触ろうとした時に怖がられたことも傷ついたと。
メイは、触られそうになった時は嫌だったのではなく、これまで男の人とそういうことをしたことがなかったので恥ずかしかったのだということ、ナギサさんの介護は自分にはうまくできないと思うから、その時はプロを雇おう、そのためにも私、稼ぎますんで! と宣言してようやく元のさやに戻った。
最後にメイはこう呼ぶ。私の夫、ナギサさん、と。
雑感
単行本の題字は当初から、「家政夫のナギサさん」の「夫」の文字だけ色が違っていた。全然そのことを意識しなかったけれど、最後に、ああそういう意味だったのかとわかる。なかなかいい仕掛けだ。
四ツ原フリコは「先生、先生、先生」など、年配の男と若い女の恋愛を描いた先行作品があり、それに比べると、ナギサがなぜメイに惹かれたのか、またメイがなぜナギサに惹かれたのかがていねいに描かれている分、よくわかる。同時にナギサが自分の年齢に向き合って悩む描写もあり、非常にリアリティがあってよくできていると思う。
また、本作ではキスするシーンも抱き合うシーンもないが、性的なことにちゃんと話が及んでいるところも納得が行く。恋愛も結婚も性的なことがすべてではないが、重要な構成要素であり、大人の恋愛を描くのにその話題を避けるのは興ざめである。まあ、四ツ原フリコがその話題を避けるわけはないんだけど。
ドラマでは、多部未華子の毎回の服装がとてもファッショナブルで素敵でありまた多部未華子によく似あっていて、眼福であったし、大森南朋がなんとも可愛らしくて、それは実写版の成功したところだ。高橋メアリージュンのキュンキュンぶりも見どころだし、北斗の拳で話が紡がれているのも面白かった。
ドラマの問題点はいろいろあって、それはこれまでも触れてきたが、メイがナギサに惹かれた理由がはっきり描かれなかったこと(特にドラマでは肥後先生、田所さん、遙人クンと他に三人も候補がいたため、なおさらナギサを選んだ理由が不明)と、性的な話を一切扱わなかったことは失敗だったと思う。
ところで、ストーリー的にはこれで完結だと思うのだが、どこにも最終巻である旨の説明がない。ドラマではCMで盛んに「最新話はシーモアで」と連呼していたが、シーモアを見ても見つからず、よくわからない(見つからなかったということは、連載が終わったということか)。