鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「アンリミテッド」2

桐流零央にサイコパスの資質ありと見抜いた警視庁の神室は、自分に性的虐待をしていた義父を自死にみせかけて殺し、さらに三人もの人間を殺して服役中の女性にインタビューした様子を撮影した動画を桐流に見せるシーンがあった。この女性、鷺嶋あゆが2巻の主人公である。ますます快調。

自殺願望のある人が、ネットで連絡を取り合って手段自殺する、というのは一昔前に実際にあった事件のアレンジだと思うが、たくみに扇動する人(組織)がいて、その組織のリーダーの壊れっぷりがサイコとは対極にある感じでいいアクセントになっている。

1巻に登場した吾川貴史もそうだけど、鷺嶋あゆ(のようなサイコパス)は自分なりの倫理観、いや倫理という言葉は相応しくないが自分ルールというものがあって、それはきちんを守っている様子が興味深い。単に自分の欲望に引きずられたり怠惰なだけの外れ者とは一線を画している。だからこそ、その思考や行動が桐流零央に追えるのだ。一般人の常識とはかけ離れているため、読者が追いかけるのは大変だが。

話の展開にどことなく爽快感があるのは、人が死ぬのが面白いのではなくて、鷺嶋あゆの行動に一貫性があるからだと思う。

第三巻は発売されるだろうか? ぜひ次の話が読みたい。



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