鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「現代英文法講義」を買った

  • 安藤貞雄「現代英文法講義」(開拓社、2005)

江川泰一郎の「英文法解説」だけでは飽き足らず、ちゃんとした英文法の解説書がほしいと以前から思っていたが、書店に行ってもお手軽な学習書は星の数ほどあれど、硬い文法書は見かけることがなく、中身の見られない通販は、以前ロングマンの「アレクサンダー英文法」で失敗してから及び腰になっており……

そんな矢先に、twitterの「ラジオ英会話」タグで本書を推薦している声があり、調べてみると、真っ当な研究者がきちんと書いた文法書のようなので、高価ではあったが、思い切って買ってみた。それが本日届いた。

パッと本を開いて、紙質がよく、活字がきれいで気に入った。ほっとした。ここが気に入らないと何度も読む気になれないものだ。

注記を「NB」としているのが気に入った。これはnota beneの略と思われ、中学生の時に使っていた単語集で使われていて知ったのだが、それ以外の本や冊子で使われているのを見たことがなく、親しみがわいた。

subjunctive moodのことを(仮定法ではなく)叙想法と書いているのが気に入った。いわゆる「仮定法」とされている表現には、何も仮定していないものはいくらもあるので、定着した用語だから文句は言わないが、仮定法という表現は適切ではないと自分も思っていたからである。

「補語」について、ちゃんと一章を割いて説明がある(しかも26ページも!)のが気に入った。「英文法解説」を含め、手持ちのすべての英文法の本には「補語とは~である」という説明がない。

おなじみの5文型ではなく8文型を提唱しているらしいので、いったいどういう分類をしているのかと説明を読んでみて驚いた。従来の説明では、He lives in London.はin Londonがなくてみ意味は通じるからこれは修飾語句、He is happy.ではhappyがなければ意味が通じないから補語、のように言われていた。文に必要なのは主語、動詞、目的語、補語であり、修飾語はあってもなくてもよい、と。で、いやーHe lives in London.のin Londonがなかったら意味は通じないんじゃないの? 必要とかなくてもよいとか、何を基準にして言っているんだろう? と、かねがね疑問に感じていた。本書では、He lives in London.のin Londonがなかったら非文だと明白に主張している。副詞語句(A)には、ないと文が成立しないものとなくてもよいものがある。そのため

  1. SV
  2. SVC
  3. SVO
  4. SVOO
  5. SVOC
  6. SVA
  7. SVCA
  8. SVOA

の8つに分類する、というのが本書の主張であった。長年の疑問が氷解したため、買ってよかったとしみじみ感じ入った次第。

まだほんの一部に目を通したに過ぎないが、宝の山を前にした気分でワクワクしている。

「恐れず侮らず」とダブルポスト。