- 根田啓史、「あの時助けたカラスがドジすぎて困った」1(ナンバーナイン)
2022年4月29日刊。比較的最近の作品だ。
女子高生の姿をした女の子が、子どもに殺されかけたところを助けていただいたカラスです、と言って男性の部屋にやって来るところから始まる。恩を返させてほしい、と言うのだが、断わっても聞かず、やらせてみるとドジであまり役に立たない。もう十分だから、と言っても納得せず、毎日やって来るという話。
カラスの子の名は雅(みやび)。男性の名は不明。
これが普通の人間であったとしても、いきなり他人の家に上がり込んでできることは限られている。料理にしても掃除にしても、その家のやり方があり、それを一瞬で把握して動くのは、ベテランの家政婦以外は難しいだろう。まして異性物であれば、ていねいな指導なくして任せたところでうまくいくわけがない。雅がドジなのではない。誰がやってもうまくいかないだろう。
となると、あとはできることはひとつだけ……なのだが、男性は、見せろとかヤらせろとか下品なことは決して言わない。相手を気遣い、ケガの手当てをしてあげたりする(だから借りを返すどころか、ますます借りが増えてしまう)。そんな男性に、雅は少しずつ惹かれていく……
動画を取らせてもらってネットにあげたらバズるかもね。でも、本人は「これでは恩を返したことにはならない」と引き下がってくれないかも。