鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「40歳になるのだがこのまま私性活切り売りマンガを描いていていいのか」

  • 桜木さゆみ「40歳になるのだがこのまま私性活切り売りマンガを描いていていいのか」(ぶんか社

2014年11月1日刊。

桜木さゆみの作品は昔から好きで単行本もいろいろ持っているが、久しぶりに読み返した。1992年17歳でデビュー。当初は普通にストーリーを考えていたが、女子高生で売っているんだから女子高生らしいことを描けと編集に言われ、以後、自分の身の回りのことを描くようになったと、別作品で読んだことがある。

以前、エッセイ漫画の系譜について考察したことがある。「ダーリンは外国人」(2002年)がターニングポイントになったように自分は感じでいたが、桜木さゆみはその10年も前からエッセイ漫画家として実績を積んでいたことになる。ファーストペンギンではないかも知れないが、先頭ランナーを走っていたのは間違いないと思われる。

もっとも、エロ業界というのは、作家の描いた創作物語よりも、告白体験記の方が人気を呼ぶもので、だから告白体験を装った創作もかなり昔からまかり通っていた。エロ漫画界におけるエッセイ漫画は、告白体験記の流れかも知れない。先輩諸氏が実録「風」に描いているのに、若い桜木さゆみが本当に実録してしまったとか。

漫画でさらけ出した歴代の彼氏は、いずれも相当なダメ男で、桜木はだめんずの先達でもあった。そういう意味では、桜木さゆみがいなかったら倉田真由美もいなかった!?(別に、いなくてもいいけど……)

本作の中で、作者の歴代の彼氏とそのダメっぷりが3ページにわたって解説されている。これは役に立った。作品を常に時代順に読んでいるわけではないから、誰が誰やらわからなくなることがあるので。



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