- 原作・三石メガネ、漫画・合田蛍冬「小悪魔教師サイコ」1（ぶんか社）
2021年10月28日刊。初出は「COMICヤミツキ」Vol.1（2021年4月1日）～Vol.6（2021年9月1日）。
新任教師・葛西心春が任されたクラスは、前の担任を集団でいじめ、自殺未遂に追い込んだ問題あるクラスだった。首謀者は金沢彩羽およびその彼氏の秋月竜斗。新しい担任も同じ目に遭わせようと、二日目にいきなり汚水をかけたり、冬川アザミに命じて階段から突き落とさせたりするが、葛西は動じる様子がない。そのことに苛立ちをつのらせる金沢と秋月だったが、実は葛西は、金沢や秋月などをはるかに上回るサイコパスだった――
人を殺すことを何とも思わない人が主人公という、小さなジャンルを成す話だが、本作に引き込まれるのは葛西心春の造形だ。
授業中に秋月を指名し、「俺が正解したらパンツ脱げよ」と言われると、「あの、わからなかったら正直にいってくれればいいですよ？」と問い直したり、「困るでしょ」と言って濡れた床を拭くように強要する金沢に、「あなたが困っても、私は困らないですよ？」と返したりする。その時の表情が本当に天然で、秋月や金沢は腹立たしいだろうが、見ている方は笑えてしまう。
それに、作中で佐々木や秋月にも言われているように、胸が大きく、スタイルがいい。童顔だが、何事かをたくらんだ時の狂気をはらんだ顔とのギャップにゾクっとする。
酷いことをすると思われる金沢は、実は両親からほったらかしにされて愛情に飢えていた。また、秋月は尊敬していた兄が事故で寝たきりになってしまい、そのショックに加えてやはり親が構ってくれない寂しさから、捌け口を求めていることがわかり、いろいろ納得させられる。
さて、葛西は金沢を殺し、秋月に罪を着せる。秋月の兄の事故も葛西が関わっていたようである。そんな葛西を敵視する秋月は、佐々木を誘ってレイプし、動画を取って脅迫することを思いつくが……
