鞄に二冊

少しでも空き時間ができると、本が読みたくなる。

「小悪魔教師サイコ」をめぐるトラブル

三巻まで紹介して来た、合田蛍冬作画の「小悪魔教師サイコ」だが、原作管理会社とトラブルに巻き込まれており、現在連載が止まっている。

原作はpeepに連載されたもので、現在は完結。本作は2021年からぶんか社のメディアで漫画の連載が開始された。ところがまだ連載中であるにも関わらず、peepの運営会社taskeyが、同じ原作を別の作家にコミカライズさせ、2022年からpeepでも連載を開始した。そのことを知った合田はやめてもらうよう申し入れをしたが受け入れられず、taskey側は合田版の連載を中止する措置を取った……ということをねとらぼが記事にし、一部で話題になっていた。

後発の漫画の連載が始まった時、広告を見て少し読んでみたが、全く面白くなくて、あれ? と思って合田版を再読し、やっぱり面白いじゃないか、と思ったことがあった。その後、4巻がまだ出ないなあと思っていたのだが、こんな事態になっていたとは知らなかった。

関係者にはそれぞれ言い分があるだろう。契約書の内容も知らないし業界の商習慣も知れない。ただ、読者として強く主唱したいのは、合田版と後発の作品を比較したら圧倒的に合田版が面白いということだ。話題になり、大いに売り上げを上げたそうだが、合田版の連載が止まった今後、本作の漫画が評判になることはないだろう。taskeyは、合田にこのまま連載を続けさせれば、大いに原作料で潤っただろうに、余計なことをしてみすみす大儲けのネタを失ってしまった。金の卵を産む鶏から金塊を取り出そうと腹を裂いて殺してしまった故事のようだ。死んだ鶏は二度と金の卵を産まない。

ぶんか社の態度も少々情けないと思う。別メディアから後発の作品が出れば、自社の作品が影響を受ける可能性がある。合田によれば、taskeyが版権を握っている以上、仕方がないと初めから諦めていたようだが、そもそも掲載誌の「COMICヤミツキ」は「e-Storyアプリ「peep」ヒット作をコミカライズ」(ぶんか社のサイトより)するために創刊された雑誌である。仕方がないで済ませていいことではあるまい。taskeyからは結局、単行本の販売中止、連載中止などの横暴な措置を取られた。遺失利益は億の単位になるのではないか。もっと声を上げるべきだ。

なお、当事者であるはずの三石メガネ氏がtwitterで無責任な発言を繰り返しているとの指摘もあるが、どうも原作の版権はtaskeyが握っているらしい。そうなると、訴訟沙汰になったことについては原作者も迂闊なことは言えないだろう。流れ弾を被弾した三石氏はいささか気の毒である。